ゴクアークからしてみれば、非常に残念な部下だったヤミノリウス。しかし、どれだけミスが多かろうとも、ヤミノリウスがゴクアークの忠臣であったことに間違いはありません。 では何故、忠臣のヤミノリウスが、ゴクアークに反逆したのか。 それは、ゴクアークが地球を大魔界に変えずに破壊しようとしたことに加え、やはり亜衣子先生の存在があったればこそだと思います。 三大魔王が敗れ去った後、青空町の人々から責められるヤミノリウスを「いい人」だと庇ったのは、ずっとそう言い続けてきた亜衣子先生でした。 ヤミノリウスからすれば迷惑だったかもしれない「説得」を続けた亜衣子先生ですが、それは亜衣子先生がヤミノリウスのことを「いい人」だと信じて、一生懸命に行動し続けた証拠でもあります。 こうした亜衣子先生の行動は、ヤミノリウスが「魔王を復活させれば人間界を大魔界に変えることができる」と信じて、一生懸命に奔走していたのと、その中身が変わらないものだったことは明白です。 ヤミノリウスがゴクアークのことを信じて行動していたように、最後の最後まで、ヤミノリウスのことを気にかけて行動し、信じてくれた亜衣子先生の気持ちに、ヤミノリウスは心動かされたハズです。 何故なら、ヤミノリウスはゴクアークに仕えていた頃から、この人のために頑張ろうという気持ちを持っていたし、同時に他人の気持ちに応えようとする心も持っていたからです。 ゴクアークの忠臣だったことが、ヤミノリウスがそうした精神の持ち主だったことの何よりの証明となっています。 かたや、さんざん苦労して二大魔王の封印を解いたヤミノリウスを見捨てたゴクアークたち。かたや、ひび割れた地球をつなぎ止めようとしたヤミノリウスの行為に「ありがとう」とお礼を言った亜衣子先生。 だからこそヤミノリウスは、最後はゴクアークに反逆し、ガンバーチームに味方して、最終的には亜衣子先生のもとへと帰ってきたのでしょう。 自分のために頑張ってくれた人に感謝したり、報いたりする心。これが何よりも重要だというのは、青空町の平和を守って、町の人たちからお礼を言われるガンバーチームの姿を見ていれば、自ずと分かりますから。 「部下を単なる道具としか思わなかったから負けた」というのは、『エルドランシリーズ』の黒幕共通の敗因ですが、そこに至るまでの過程がそれぞれ異なっているからこそ、個人的には面白さを感じます。 |