第51話「時空を越えた空へ!」


概要

機械化帝国を打ち倒したザウラーズは、無事、春風小学校の卒業式を迎えることになった。
6年2組の教室では、五郎が答辞の練習を行っていたが、あまりの緊張ぶりを見かねた拳一が、答辞の原稿を取ると、それを読み始める。 そして、その中の「偶然ゴウザウラーと出会い…」という一文を読んだ拳一は、1年前の始業式の日に、自分たちがゴウザウラーと出会ったことを思い出した。
このことを発端として、6年生になると同時にザウラーズになった彼らの脳裏に甦る、ゴウザウラー、マグナザウラー、グランザウラーを入手した時のエピソード。 更に、強敵エンジン王に対して、キングゴウザウラーへの合体を考案したこと。月の機械化城におけるエンジン王の最期。地球の歴史を元に戻すため、恐竜時代へと向かい、ダークゴウザウラーを倒して歴史を元に戻したものの、そのために経験した、チビ助との出会いと別れ。拳一の体の機械化。機械神との最終決戦。
こうした数々の出来事も、過ぎ去ってしまえば、全て忘れられない思い出に変わっていたが、「自分たちが卒業したらゴウザウラーは一体どうなってしまうのか」ということに考えが及んだ、ザウラーズの各メンバーは、 小学生生活最後の1年間、共に過ごしてきたゴウザウラーを、このまま春風小学校に残して、自分たちだけが卒業していくことを気にかけていた。
そこで拳一たちは、キングゴウザウラーの卒業式を執り行うことを決心。果たして、ザウラーズの卒業式が終わった後、キングゴウザウラーの卒業式が、校長先生の許可のもと、春風小学校の校庭で行われたのだった。 ザウラーズを代表して、卒業証書をキングゴウザウラーに手渡す拳一。そして、それを受け取った無人のキングゴウザウラーは、ザウラーチェンジャーやザウラーブレスなどのアイテム共々、エルドランが回収する形で、ザウラーズの前から飛び去っていく。 ザウラーズにお礼を言うエルドランと、見えなくなるまでキングゴウザウラーを見送るザウラーズ。
こうして、ザウラーズの各人は、それぞれの未来へと歩み出すのだった。

分析

これより機械化帝国の敗因を分析していくが、"太陽系機械化計画"実行に至るまでの過程は、当データベース独自の見解で述べていくことを、最初にお断りさせて頂く。
恐らく機械神は、以前にも地球を襲ったことがあり、その際はエルドランの駆るゴウザウラーの前に、手痛い敗北を喫していたハズだ。 そこで機械神は時空の穴を利用することを考案。忠臣であり、実力者でもある原子王を、1993年の現代から6400万年前の世界へと送り込んで、これにエルドランおよび、ゴウザウラーの相手をさせるという対策を施した。
こうして機械神は、1993年の地球から、「エルドランのゴウザウラー」という、邪魔な妨害要因の排除を完了。その後、忠誠心が高めの歯車王とその従者であるギーグを太陽系に派遣し、長きに亘って構想していた"太陽系機械化計画"を遂に実行するという、用意周到な策を講じていたのだと推測される。
ところが拳一たちが、エルドランからゴウザウラーを与えられ、地球防衛を目的とした「ザウラーズ」を結成。1993年の現代に侵攻した機械化帝国の前に立ち塞がったことで、"太陽系機械化計画"は一向に進展を見せず、機械神の思惑とは裏腹に、指揮官たる機械王の首を次々とすげ替えざるを得ない状況となってしまった。
無論、マグナザウラーの登場とグランザウラーの誕生、それによるキングゴウザウラーの発明等、機械神にとっての誤算は多々あった。エンジン王の完全なる謀反の結果、機械化城を失ったことも、計算外ではあっただろう。
しかしながら、機械化帝国の幹部にも全く問題が無かったというわけではない。 歯車王は、地球を機械化するためには、ゴウザウラーの打倒が最優先かつ必須と思い込み、電気王は、正々堂々とゴウザウラーに戦いを挑んだ上で、己の信じる「力」による勝利を得ることに拘り、エンジン王は、キングゴウザウラーの強さの秘密を探ることにのみ懸命になっていた。
そして、ギーグや四天王は、自らの保身を何よりも優先させるなど、初期に送り込まれた歯車王と原子王以外の構成員は、機械神や機械化帝国の目的達成のために動く意志が希薄であったのだ。
その一方で、機械化帝国を統率する機械神の組織運営方法にも疑問符が付く。 機械神への忠誠心が高いが故に、連戦連敗の焦りから視野を狭めていた歯車王には、ゴウザウラーを倒すことと、地球を機械化することが、必ずしもイコールではないことを気付かせ、 力による勝利を何よりも重んじる戦士の電気王には、より強力な力を与えて、打倒ゴウザウラーに邁進させるべきであった。 そもそもからして、野心が高く、謀反を企むエンジン王を地球に派遣するのは、ある意味、最大の悪手であり、歯車王、電気王の時点で、地球攻略を達成できるように部下を導く努力を、機械神は怠ってはならなかったのだ。
機械化帝国は優秀な人材を多く擁しており、やり方次第ではゴウザウラーを倒すことも決して不可能ではなかった。しかしそれを成し遂げられなかった原因は、機械神の結果至上主義と、そこから生まれた組織全体の結束力の無さにこそある。
部下を単なる道具と見なすのではなく、その部下の抱く考え方や、価値観に合った接し方でアドバイスを送る。組織の頂点に立つ者として機械神に最低限の人心掌握術があったならば、また違った展開が待っていたハズだ。
以上のことからも明らかなように、"全宇宙に鋼鉄の秩序を"を共通の合言葉としながらも、機械化帝国は、遂に一致団結することができなかった。個人個人が各々の目的を何よりも優先し、組織としての結束力を発揮することは、ついぞ無かったのである。 地球を機械化するという目的で一枚岩になれなかった機械化帝国が、地球を機械化させないという点で一枚岩だったザウラーズに敗れたのは、当然の結果であったと言える。

Last Research

心を持つ生命体を全否定した機械神は、心ある生命体のザウラーズに敗北した。 しかしながら、機械化帝国の構成員も心を持っていたことは間違いない。では、心を持つ者同士、機械化帝国とザウラーズの和解の道はあったのだろうか。
機械化帝国を組織した機械神は、心を持っている生命体は欠点しか持っておらず、そのような存在は、鋼鉄の秩序にとっては不要とまで言い切った。
しかし、機械神がここまで心を忌み嫌っている理由は、自分を生み出した心を持つ知的生命体が、戦争を起こして、自らの文明社会を滅ぼしたからに他ならない。 自分勝手で、我儘で、憎み合い、殺し合ったのであろう知的生命体に失望した機械神が、同じ過ちを二度と繰り返さないために、全宇宙から全ての生命体を抹殺しようと考えてしまったことも頷ける。
だが、機械神が見たのは、心の一面でしかない。 機械神は、生命体が持つ心の、相手を攻撃する面にばかり目が向き、愛情を傾けるもう一面には、目を向けることができなかったのだが、しかし本来、心の良い面を見せるべき知的生命体は、戦争で自滅してしまっていたため、 機械神が心の良い面を学べなかったのだとしても、それはある意味、仕方が無かったと言える。
あるいは、心の良い面に目を向けられなくなるほど、機械神は心の悪い面を思い知ってしまったのかもしれない。繰り返すが、機械神を生んだ生命体は、自らの文明社会を滅ぼしてしまうほど争い、自分たちばかりでなく、その惑星の命までも奪ってしまったのだから。
そんな機械神は、当然、心の良い面に気付かず、また気付こうともしなかった。そして心を持つ生命体は、欠点しか持っていないと考え、その考えが最期まで変わることもなかった。 見る角度を変えれば、悪い面も良い面となり得るのにである。
では、機械の彼らが、心の良い面に目を向けることはできるのか。その問いには、やはりギルターボとエンジン王の二人が答えてくれている。
心の本質を理解しようと努めたギルターボと、心とは何かを教わったエンジン王は、共に他人のために心の力を使うことができたし、特にエンジン王は、心の素晴らしさに感動しながら散っていってもいる。
しかしながら、そんなエンジン王でさえ、当初は心の一面しか見てはいなかった。エンジン王が心を理解できたのは、強い情愛で繋がっていたギルターボが、心とは何なのかを解析しようとしたことが大きい。 結果としてギルターボは、エンジン王よりも先に、心とは何かを理解した。そしてエンジン王は、中島先生の言葉から心とは何かを教わり、更に、ザウラーズの姿にギルターボを重ね合わせられたことで、ようやく心とは何かを理解できたのである。
そもそも、相手と分かり合うためには、自分の気持ちを相手に伝えることは無論、その相手を、自分が受け入れることをしなければならない。 つまりは、相互理解しなければいけないのだが、それには、相手のことを理解しようとする「努力」と「心」が必要になってくる。
そういう観点から言えば、エンジン王がザウラーズと和解する「結果」を迎えられたのも、ギルターボが人間の心を理解しようと努めた「過程」があったればこそなのだ。
しかし、機械神は、結果主義者である上、心を頑として拒絶し、最初から地球侵略という行為に打って出た。 片方が相手のことを理解しようと努力しても、もう片方がその努力を怠れば、理解し合うことは、困難を極める。
故に、ザウラーズと機械神が分かり合うことは難しかったといえるが、エンジン王が示したように、個人レベルでなら、地球人と理解し合える機械人が存在するのも確かである。
従って、地球人と機械化帝国が分かり合える可能性は0ではないが、その可能性は限りなく低いものであったと言える。機械化帝国とザウラーズの和解の道は、ほぼ無かったと結論付けていいだろう。

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