機械化帝国との戦いが始まってから、紆余曲折の小学生生活を送るザウラーズの面々。そして今般、緊急特別番組「ザウラーズニュース」が企画・放送されることになった。 番組製作はザウラーズのメンバーが担当しており、司会進行を務めるのは、エリー、しのぶ、五郎の3人。 肝心の内容は、ゴウザウラーとザウラーズの秘密を独占放送するというもので、防衛隊の武田長官をゲストに招いてある他、バラエティに富んだ様々な企画を用意。 更には、ザウラーズにとっての敵である、機械化帝国の秘密にも迫るという番組プログラムが組まれていた。 これだけの大イベントである以上、ザウラーズには必ず油断が生じるであろうし、また番組が電波に乗って広範に放送されることを利用して、機械化帝国の力を広く地球人類に見せつけられるチャンスでもある。 そこで今回は、タイミングを見計らって歯車王とギーグがスタジオに乱入、機械化帝国の存在をアピールすると同時に、その効果を更に高めるため、ゴウザウラーの打倒も視野に入れて行動するものである。 |
番組が開始されると、まずザウラーズ結成の経緯が語られ、その後はザウラーズ発進シーンやザウラーズ各人の紹介、各ザウラーメカの紹介とプログラムは進んでいく。 そして、プロレス風味のコーナー「ザウラーファイト」終了後、ゲストに招かれた防衛隊の武田長官から、太陽系の惑星のうち、海王星・冥王星・天王星・土星・木星・火星が既に機械化されており、次のターゲットである地球に機械化帝国が侵攻してきている現状が明かされる。 図らずも番組の話題が機械化帝国のそれに移行し、司会のしのぶが「機械化獣はどこから現れるのか」と口にした次の瞬間、その疑問に回答する形で、歯車王とギーグはスタジオに乱入を果たしたのだった。 ギーグが故障した機械から機械化獣を造り出し、歯車王が巨大改造でそれを強化していると明かすことによって、自分たちの力を誇示。 機械化獣の襲撃映像と共に、あらゆるものを機械化し、全宇宙に完全なる秩序を打ち立てることこそ、機械化帝国の最大の目的であることを表明した歯車王は、地球人類に対して機械化帝国への降伏を勧告する。 だが、その演説中に拳一が乱入したことを契機に、歯車王配下の機械化獣軍団とゴウザウラーの戦闘が開始されるのだった。 最初は歯車王側が有利に戦いを運ぶが、一瞬にして形成を逆転されると、ゴウザウラー優位の状態から発動したザウラーマグマフィニッシュの前に、歯車王の機械化獣軍団は次々と爆発、全滅してしまう。 こうして、ゴウザウラーと戦う術を失った歯車王は、ギーグを伴ってスタジオから退却。折角の一大イベントをも活かすことができなかった歯車王は、次戦に全てを賭けるのだった。 |
今回、歯車王がギーグと共にスタジオを急襲した「真の理由」は、いったい何だったのだろうか。 と言うのも、既に機械神から与えられた「最後のチャンス」での戦闘に敗北している以上、今更「ゴウザウラー打倒」という結果を出そうとも、処刑という機械神の決定事項が覆らないことくらいは、歯車王自身も分かっているハズだ。 加えて、次回の決戦時に口にしているように、歯車王にとって、もはや地球はどうでもよい存在でしかなかったのだ。 だからこそ、今回のスタジオ急襲が、機械化帝国の目的達成のために、邪魔なゴウザウラーを倒すべく行われたものだとは思えない。歯車王の目的は別のところにあった、そう思えてならないのだ。 歯車王がギーグを伴ってスタジオを急襲した「真の理由」として考えられるのは二つ。 まず一つは、自らが「キングギア」に変貌しての最終決戦を行う前に、その前段階として、過去の機械化獣の攻撃がゴウザウラーにどの程度通用するのか、それを再確認するためだったのではないかということ。 そしてもう一つは、自分たちの戦法を地球人に誇示する=自分たちの手の内を明かすことによって、本来の戦法を歯車王が自ら封じ込め、最終決戦に臨む「覚悟」を決めるための行為だったのではないかということである。 つまり、歯車王がいつ執行されてもおかしくない自身の処刑前に、過去の機械化獣の戦闘能力を再確認し、同時に自分たち本来の戦法を地球人に向かって解説することで、表向きは己の力を誇示しながら、その実、自らが最終決戦を行う覚悟を固めるための行為だった。 これが今回、歯車王がスタジオを急襲した「真の理由」だったのではないか。 もはや地球などどうでもよかった歯車王が、地球人に向けて機械化帝国の目的を演説した不自然さも、その疑惑をより強固なものとしている。 もちろん、これはただの推論に過ぎないため、本当のところは分からない。 しかし、自分が最終決戦を行った後のギーグの境遇を、歯車王が考えられていなかったことだけは確かだと言えよう。 考えられていれば、ギーグの機械化獣制作の方法を、わざわざ地球人に教えるようなことはしなかったハズである。 |