地球は本来、簡単に攻略できた筈の惑星であった。ところが、そこに存在していたゴウザウラーなるロボットが、思いもよらぬ障害となったため、"太陽系機械化計画"は歯車王にとって、実に困難な仕事となってしまった。 しかし、ゴウザウラーが邪魔をしようとしまいと、現代の太陽系は必ず制圧しなければならない。 そこで今回も、歯車王は従者のギーグを地球に送り込み、故障した機械から機械化獣を誕生させ、それをもって速やかな地球の機械化を行うこととした。 |
機械化獣の素材となる故障した機械を探し求めて街中を歩くギーグだったが、その素材探索は困難を極めていた。そんな折、ようやく1台のバスが故障しているところに遭遇したギーグは、そのバスを改造し、やっとのことで機械化獣バッドバーストを誕生させることに成功する。 この日は、図らずも日曜日であった。そのため、ゴウザウラーを操縦するザウラーズは、小学生としての休日を各人が満喫していた。その前日、クーコ、ユカ、はるえの3人が、「ザウラーズがバラバラに行動する日曜日が危険」だと警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、他のザウラーズメンバーは、その忠告を半ば無視していた点も、機械化帝国にとっては好都合であった。 ザウラージェットは、バラバラに散らばっているザウラーズメンバーを集めるため、機械化獣に構っている場合ではなく、その間にバッドバーストは繁華街で順調に破壊活動を行っていく。そして、その作戦展開に上機嫌の歯車王は、バッドバーストに巨大改造を施して強化すると、更なる町の破壊と地球の機械化を実行していくが、その前にゴウザウラーが現れたため、バッドバーストとゴウザウラーはついに激突。 その戦闘はゴウザウラーが優勢だったが、バラバラになっていたザウラーズの中で行方の分からなかったクーコ、ユカ、はるえの3人がバッドバーストの体内にいることが発覚したため、ゴウザウラーは攻撃を中止する。 実は3人は、日曜日にショッピングへ出かけた際、バッドバーストの素材となったバスを利用しており、その他にも何人かの一般の乗客が、バッドバーストの体内に結果的に幽閉されていたのだ。 図らずも乗客が「人質」となったため、バッドバーストはゴウザウラーに猛攻を加えるが、機械化獣内に響くクーコとユカの泣き声を「雑音」と感じた歯車王は、人質の重要性を理解していなかったこともあり、ギーグに乗客の始末を命じる。 上官である歯車王の命令に従って、バッドバーストの体内へと乗客を始末しに向かうギーグ。しかしギーグは、驚いたはるえの大声に転倒し、更にクーコに突き倒されると、あまつさえユカの涙が体の中に入って機能がショート。その結果、一時的に故障したギーグは、バッドバーストの体内を破壊してその動きを止めてしまうと、人質となっていた乗客全員に脱出されるという失態を演じるのだった。 なんとか機能を回復して、再度ゴウザウラーを攻撃するバッドバースト。だが、人質がいなくなったことで、存分に戦えるようになったゴウザウラーのザウラーキャノンにそのボディを撃ち抜かれたバッドバーストは、続けざまに発動したザウラーマグマフィニッシュによって爆発四散してしまう。 機械化獣を破壊された歯車王とギーグは、またも月の機械化城へと遁走するのだった。 |
そもそも、この日が日曜日で学校が休みであったことから、小学生が本業のザウラーズは各人がバラバラに行動しており、そのメンバーを集めるにもかなりの時間を要したため、バッドバーストが地球を破壊、機械化する時間は、普段より余裕があったと見ていいだろう。 敵の正体を歯車王が知らずとも、バスを素材としたことで、乗客がそのまま人質となったのは嬉しい誤算であったし、しかもその中にクーコ、ユカ、はるえと、ザウラーズのメンバーが3人もいたのだから、ゴウザウラーも普段よりはパワーダウンしていた筈で、これ以上の勝機はなかったと言っても過言ではない。 その勝機を自ら放棄してしまったのだから、これ以上のチャンスが今後訪れるかどうかの確率を考えても、今回ほど勝てる可能性のあった戦いに敗北した責任は、非常に重く、重大であったと言える。 だが、もし仮に歯車王が、「人間」についての知識を豊富に持っていたなら、今回のように人質として利用できたバスの乗客を、ギーグに始末させんとするような判断は、決してしなかっただろう。歯車王が地球の文明レベルを把握していたことは、地球攻略を開始した時点の言動から窺うことができるが、その地球に生息している「人間」という生物に関しては、知識が足りなかったのではないだろうか。 もちろん、機械化帝国にとっての禁忌である「心」について深く知る必要はない。しかし「人間」にとってどういう行動が弱みとなるか、「人間の弱点」だけは知っておくべきであった。特に此度の戦いなどは、「弱点に関する知識の有無」次第で、勝敗までもが変わっていた公算が大きかったのだから。 |