第5話「地球最期の日曜日」


概要

ゴウザウラーが邪魔をしようとしまいと、現代の太陽系制圧こそ使命の歯車王にとって、地球の機械化は重大な仕事となってしまった。そこで今回も、従者のギーグを地球に送り込み、故障した機械から機械化獣を誕生させ、それをもって速やかな地球の機械化を行う作戦を推進することとした。

実行

機械化獣の素材となる故障した機械を探し求めて街中を歩くギーグだったが、その素材探索は困難を極めていた。そんな折、ようやく1台のバスが故障しているところに遭遇したギーグは、そのバスを改造し、やっとのことで機械化獣バッドバーストを誕生させることに成功する。
この日は図らずも日曜日であった。そのため、ゴウザウラーを操縦するザウラーズは、小学生として休日を各人が満喫していた。その前日、クーコ、ユカ、はるえの3人は、「ザウラーズがバラバラに行動する日曜日が危険」だと警鐘を鳴らしていたものの、他のザウラーズメンバーは、その忠告を半ば無視していた点も、機械化帝国にとっては好都合であった。
ザウラージェットは、バラバラに散らばっているザウラーズメンバーを集めるため、機械化獣に構っている場合ではなく、その間にバッドバーストは繁華街で順調に破壊活動を行っていく。そして、その作戦展開に上機嫌の歯車王は、バッドバーストに巨大改造を施して強化すると、更なる町の破壊と地球の機械化を実行していくが、その前にゴウザウラーが現れたため、バッドバーストとゴウザウラーは激突。
その戦闘はゴウザウラーが優勢だったが、バラバラになっていたザウラーズの中で行方の分からなかったクーコ、ユカ、はるえの3人がバッドバーストの体内にいることが発覚したため、ゴウザウラーは攻撃を中止する。
実は3人は、日曜日にショッピングへ出かけた際、バッドバーストの素材となったバスを利用しており、その他にも何人かの一般の乗客が、バッドバーストの体内に結果的に幽閉されていたのだ。図らずも乗客が「人質」となったためバッドバーストはゴウザウラーに猛攻を加えるが、クーコとユカの機械化獣内に響く泣き声を「雑音」と感じた歯車王は、愚かにもギーグに乗客の始末を命じる。上官である歯車王の命令に従って、バッドバーストの体内へと乗客を始末しに向かったギーグは、驚いたはるえの大声に転倒し、更にクーコに突き倒されたところへ、ユカの涙が体の中に入って機能がショート。その結果、バッドバーストの体内を破壊した上、その動きを止めてしまうと、その隙に人質だった乗客全員に脱出されてしまう。
なんとか機能を回復して、再度ゴウザウラーを攻撃するバッドバーストだったが、人質がいなくなり、攻撃に遠慮のいらなくなったゴウザウラーのザウラーキャノンによってそのボディを撃ち抜かれ、強力なダメージを被って、ザウラーマグマフィニッシュで破壊されてしまう。
機械化獣の敗北で作戦は失敗し、歯車王とギーグは月の機械化城へと遁走するのだった。

分析

そもそも、この日が日曜日で学校が休みであったことから、小学生が本業のザウラーズは各人がバラバラに行動しており、そのメンバーを集めるにもかなりの時間を要したため、バッドバーストが地球を破壊、機械化する時間は、普段より余裕があったと見ていいだろう。
敵の正体を歯車王が知らずとも、バスを素材としたことで、乗客がそのまま人質となったのは嬉しい誤算であったし、しかもその中にクーコ、ユカ、はるえと、ザウラーズのメンバーが3人もいたのだから、ゴウザウラーも普段よりはパワーダウンしていた筈で、これ以上の勝機はなかったと言っても過言ではない。
その勝機を自ら放棄してしまったのだから、これ以上のチャンスが、今後訪れるかどうかの確率を考えても、今回ほど勝てる可能性のあった戦いに敗北した責任は、非常に重く、重大であったと言える。
しかしこれも今回の地球攻略にあたって、歯車王が現代の地球の支配生物である「人間」についての知識を豊富に持っていたなら、今回のような判断はしなかっただろう。
地球の文明レベルを把握していたことは、地球攻略開始時点で、おおよその想像はできるが、その地球を支配している「人間」という生物に対しては、知識が足りなかったのではないだろうか。
もちろん、機械化帝国にとっての禁忌である「心」について深く知る必要はない。しかし「人間」にとってどういう行動が弱みとなるか、「人間の弱点」だけは知っておくべきであった。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という言葉もある。攻め入る惑星の文明レベルだけでなく、敵になり得るであろう支配生物が、どのような生物であるかも把握しておいた方が上策だろうと痛感させられた敗北として、今回の戦いを記録しておきたい。

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