太陽系の機械化を完了させねばならない歯車王だが、地球のゴウザウラーが思わぬ障害となったため、その作戦活動は停滞していた。 そんな歯車王の前に、機械化帝国の支配者・機械神が、ダミーオブジェの姿で出現。機械神は、一刻も早い"太陽系機械化計画"の達成と、あらゆるものの完全なる機械化を歯車王に厳命して、その姿を消すのだった。 歯車王の考えは、ゴウザウラーの打倒こそ地球攻略の近道であるというものであったため、今回も従者の機械人・ギーグに機械化獣を製作させ、その誕生を待って、次なる侵略活動に移る手筈となっていた。 |
ギーグは機械化獣の素材となる故障した機械を探して町中を歩き回り、ようやくあるゲームセンターにて、故障したクレーンゲーム機を発見。即座にそれを機械化獣デビルキャッチャーへと改造する。 折しもそこには、ゴウザウラーを操縦するザウラーズのメンバーも数人が集まっていた。 と言うのも、ザウラーズのしのぶの祖母が「ゲームの達人」と称されるほどのゲームの天才であり、機械化獣を誕生させたゲームセンターで、偶然にもゲームに興じていたためであった。 故障したクレーンゲーム機から誕生したデビルキャッチャーは、クレーンゲームの景品であるぬいぐるみを嗜好する。そのため、機械化獣誕生の直前、クレーンゲームにてぬいぐるみを数個獲得していたザウラーズを、デビルキャッチャーは襲撃。 生身では機械化獣に歯が立たないザウラーズはゲームセンターから逃げ出すが、その後をデビルキャッチャーが執拗に追う展開となり、たとえザウラーズが路地に身を隠そうとも、彼らが景品のぬいぐるみを持っている限り、それを好むデビルキャッチャーが逃がすことはなかった。 やがてザウラーズは、自分たちが襲われている原因が、手元に1個だけ残っていたぬいぐるみだと気付く。そのため、デビルキャッチャー目掛けてぬいぐるみを投げ付けるザウラーズの拳一。 しかし、いくら景品のぬいぐるみが好物のデビルキャッチャーとは言え、それを投げ付けられる行為は不快でしかなく、結果、怒りを露にしたデビルキャッチャーはザウラーズを追い続けるのだった。 斯くして、事態は機械化帝国にとって好転し続けていたが、しかしそこに拳一から連絡を受けたザウラージェットが飛来。各ザウラーロボに分離すると、そのうちの1体・ランドステゴがデビルキャッチャーの前に立ちはだかったため、デビルキャッチャーは窮地に立たされる。 この事態に歯車王は、即座に巨大改造を施してデビルキャッチャーを強化。ランドステゴを軽くあしらうと、ザウラーロボへの搭乗が遅れていたザウラーズメンバーとしのぶの祖母に襲いかかるが、寸手のところでこれをサンダーブラキオに救助されてしまう。 そこで本格的に戦闘に入ったデビルキャッチャーは、体内の爆弾を各ザウラーロボに投げ付けると、そのうちのサンダーブラキオに対して電撃による追い打ちをかけ、更には鋏を射出して強力なダメージを与える。 この攻撃で、パイロットのしのぶが気絶したことから、サンダーブラキオは動かなくなり、これをチャンスと見た歯車王は、まず、サンダーブラキオから片付けようと画策。デビルキャッチャーが歩を進める中、しのぶは気絶状態から覚醒するが、その意識はまだ朦朧としていたため、デビルキャッチャーのとどめの一撃は、見事に決まったかと思われた。 しかし、間一髪のタイミングで、サンダーブラキオに救助されていたしのぶの祖母が、その操縦席にやってくると、サンダーブラキオを操作。とどめの一撃になるハズだった攻撃をかわしたばかりか、逆に体当たりを加えて、デビルキャッチャーを跳ね飛ばしたのだった。 そこでデビルキャッチャーは、体内の爆弾を次々と投擲して攻撃するが、「ゲームの達人」であるしのぶの祖母がサポートするサンダーブラキオや、ゲームに慣れ親しんだ子供のザウラーズが操縦する各ザウラーロボには、武器である爆弾をゲーム感覚で全て撃ち落とされてしまい、爆弾が底を突いた一瞬の隙にゴウザウラーへの合体を果たされてしまう。 そこで、ゴウザウラーに攻撃を加えるデビルキャッチャーだったが、ゴウザウラーとは戦力が比較にならず、ザウラーマグマフィニッシュで呆気なく爆発四散。 こうして今回も、"太陽系機械化計画"を進展させることはできず、歯車王は敗戦を積み重ねてしまうのだった。 |
ギーグが「故障した機械しか機械化獣にすることができない」という時点で、機械化獣の素となる素材選択の幅は自然と狭まり、これが足枷の一つとなっているのは間違いない。 しかし、どんな機械を素材としても、誕生した機械化獣の能力にはそれぞれ個体差があり、その能力を最大限引き出して作戦を成功に導くことこそ、指揮官の歯車王に課せられた仕事であるから、如何なる機械化獣もその運用次第で、勝利を掴む可能性も、敗北する可能性もあるのだ。 ただ、今回の戦闘にあっては、機械化獣の能力同様、人間の「個体差」が勝敗を決したとも言える。機械がある方向性に特化して、作業内容によって向き、不向きがあるように、人間も各人が得意、不得意を持っている。その突出して得意なことが特技であり、個性なのである。 しのぶの祖母は、「ゲームの達人」と呼ばれるほどゲームを得意とする人物であり、そのような人物がサンダーブラキオに乗り込んでいた時点で、クレーンゲーム機が素材だったデビルキャッチャーは敗れ去る運命にあったのかもしれない。が、偶然とは言え、機械化獣が誕生した現場に生身のザウラーズが大勢いたのだから、このチャンスを逃した時点で、今回の勝率は大きくダウンしてしまったと言っても、決して過言ではないだろう。 そして何より、機械神が計画の早期達成を命じてきたにもかかわらず、相変わらずギーグによる機械化獣誕生まで動かなかった歯車王も、危機感に乏しかった感は否めない。 今回も含めて、数多くの勝機を逃し続けたことが、機械神の歯車王に対する信用を失墜させ、ひいては、歯車王の身を滅ぼす結果へと繋がっていく。 それを思えば、歯車王は指揮官として、一戦一戦が「最後のチャンス」という気持ちで、毎回の任務に当たらなければならなかったと言える。 |