機械化帝国が太陽系に侵攻を開始して以降、歯車王による地球攻略作戦が幾度か実行されたものの、その尽くがゴウザウラーに阻まれてしまい、"太陽系機械化計画"指揮官の歯車王も、流石に焦りを覚え始めていた。 そんな折、再びダミーオブジェの姿を現した機械神は、太陽系制圧のこれ以上の遅れが許容できないことを歯車王に通達。それを受けた歯車王は、ゴウザウラーに対する憎悪と闘志を燃やすのだった。 一方、地球の守備を任されたザウラーズ内部では、サンダーブラキオのパイロットであるしのぶが、そのお転婆ぶりを母親に咎められ、もっとおしとやかにするようにと、無理やり着物を着せられていた。 そしてしのぶは、「丸1日を着物で過ごし、家に帰ってきたときに少しでも着物が乱れていたら、これからもずっと着物を着てもらう」と、母親に言い付けられる。 着物がゴウザウラーのパイロットスーツよりも動きにくいことは間違いなく、なおかつ、着物を乱さずに戦うともなれば、それはまさしく至難の業。 機械化帝国側にとっては、図らずも都合のいい事態が進行していた訳だが、さりとて「勝負は下駄を履くまで分からない」ということは、これまでの戦闘データが何よりも雄弁に物語っている。 あとは、地球に派遣したギーグが、どのような機械化獣を生み出すかである。 |
ギーグは春風町内を練り歩いて、機械化獣の素材を探していたが、とある十字路で曲がってきた自転車と衝突。この際の衝撃でギーグの首と両腕が飛び出し、それを見た自転車の主の男は逃げていってしまう。 しかし、男が自転車に乗りながら聴いていたラジオが、ギーグとの衝突で故障してしまっており、災い転じて福となしたギーグは、早速、この故障したラジオを機械化獣ラジオデンジャーへと改造する。 行動を開始したラジオデンジャーは、頭部のアンテナから電波を放射し、町中の機械という機械を故障させて、人間社会をパニックに陥れるという成果を上げる。 そんなギーグとラジオデンジャーのもとに、気合いを入れ直したかのようにやる気に満ちた歯車王が飛来。巨大改造を施してラジオデンジャーを強化すると、すぐさま地球の機械化作業に取り掛かる。 だが、町中の機械を故障させたことで発生した火事の煙が、機械化帝国の攻撃開始をザウラーズに知らせる結果となってしまっており、じきにザウラージェットがやってくると、3体のザウラーロボへと分離する。 ラジオデンジャーに対して、コンビネーション攻撃を行おうとするザウラーズ。だが、歯車王はラジオデンジャーの胴体部に備わる妨害電波発生装置から妨害電波を出し、ザウラーズの通信網を麻痺させて、その攻撃を封じると、ミサイルや剣による攻撃を行い、優勢な戦闘を展開していく。 ところが、通信が通じないためにキレた五郎がサンダーキャノンを乱れ撃つという行動に及び、結果、乱射されたサンダーキャノンのうちの一発が運悪くラジオデンジャーを直撃、胴体部の妨害電波発生装置が破壊されてしまう。 全くの幸運から通信網を回復させたザウラーズは、ザウラーロボをゴウザウラーへと合体させると、本格的な戦闘に突入しようとする。 しかし、勝利の女神は、まだどちらに微笑むかを決めかねていたようで、今度はゴウザウラーのコクピットで、サブパイロットを務めるしのぶの着物の袖が、合体の際にゴウザウラーの隙間に挟まってしまうという事態が起こっていた。 こうした状況下、ゴウザウラーのメインパイロットである拳一は、ザウラーブレードで機械化獣に挑むことを選択。 斯くして、二刀流の剣術を武器とするラジオデンジャーとゴウザウラーの間で激しい剣戟が展開されるが、剣の腕はラジオデンジャーに分があり、ゴウザウラーを押し返したラジオデンジャーは、一気に勝負を決しようと、二刀流の剣でゴウザウラーに大打撃を与えていく。 拳一が操縦するゴウザウラーでは、剣対剣の勝負でラジオデンジャーには敵わない。 剣道が得意なしのぶは、自分が操縦を代わりたかったが、「丸1日を着物で過ごし、それができなかった場合はずっと着物を着てもらう」という母親の言い付けのために、メインパイロットの交代を即決することができないでいた。 しかし、敗色濃厚な現実が、母親の言い付けより仲間のピンチを救うことをしのぶに優先させ、意を決したしのぶは、ゴウザウラーの隙間に挟まった着物の袖を破ると、ゴウザウラーの操縦を拳一から交代したのだった。 すると、その途端に動きがよくなったゴウザウラーは、ラジオデンジャーの攻撃をかわしたばかりか、ザウラーブレードによる一撃でラジオデンジャーを突き倒すほどの強さを見せる。 しのぶが操縦するゴウザウラーは、その勢いのままに必殺技のザウラーマグマフィニッシュを発動、それを受けたラジオデンジャーは、ボディを一刀両断されて爆発四散してしまう。 しのぶによる初の勝ち名乗りが戦場に響く中、歯車王とギーグは月の機械化城へと敗遁するのだった。 |
今回の敗因は、機械化帝国にとって不運が2つ重なったことにある。 1つ目の不運は、ザウラーズの連携を乱すのに効果的だった妨害電波発生装置が、五郎が乱射したサンダーキャノンが偶然直撃したことで破壊されてしまったこと。 2つ目の不運は、剣道の得意なしのぶが、ゴウザウラーのパイロットであったことである。 ラジオデンジャーの胴体部に装備された妨害電波発生装置は、ザウラーブレスによるザウラーズ間の連絡を不可能にし、機械化帝国側にとって戦略上有利な状況を作り出すことに成功していた。 下手な鉄砲も数を撃てば当たるのかもしれない。が、単純に命中率を考えても、乱れ射たれたサンダーキャノンのうちの一発がラジオデンジャーの妨害電波発生装置を直撃するなど、あまりにもハードラックであった。 また、いくら剣道が得意とは言え、二刀流の相手を打ち負かす程の腕前を持った人間はそうはいないハズだが、ゴウザウラーパイロットのしのぶは日頃から祖母によって剣道を鍛えられており、その腕が立つ人材であった点も、歯車王にとっては運が悪かったとしか言いようがない。 2つの不運のうち、いずれか一方でも欠けていれば、打倒ゴウザウラーは果たせたかもしれないのだから。 ただ、今回の作戦活動の中で不可解なのは、ラジオデンジャーの能力で故障させた町中の機械を全く回収しなかった点である。 ラジオデンジャーが故障させた機械を月の機械化城に持ち帰っていれば、自分たちの基地の中で作戦に応じた機械化獣を造ることができるし、ギーグによる毎回の機械化獣の素材探索時間の節約にも繋がり、地球の機械化と太陽系攻略のスピードアップが少なからず図れたハズだ。 なお、此度の戦いの中で、歯車王が妨害電波を使用し、ザウラーロボの連携を乱す戦法をとっているところを見るに、恐らくこの辺りから、ゴウザウラーのパイロットにも歯車王の注意の眼が向くようになったと推測される。 ただ、後の展開を見る限り、歯車王がゴウザウラーのパイロットの正体を知ることは、最後まで無かったようだ。 |