第10話「オトコ涙の一本勝負!」


概要

今回は、まずギーグを地球へ派遣して機械化獣を誕生させ、それを使って地球攻略活動を開始。
これをザウラーズが妨害に出てくることが予想されるため、その際に歯車王が機械化獣をパワーアップさせてゴウザウラーの打倒を試みるという、至ってシンプルな方法が採られている。
作戦らしい作戦は存在せず、初心に返ったかのような内容の戦法だが、策を弄さずとも機械化獣の運用次第で、地球攻略の成否が決まることが分かった過去の教訓を踏まえての行動であろう。

実行

活動を開始するため、まず機械化獣の素材を探すギーグは、とある建設現場において故障したドリルを発見、これを直ちに機械化獣サタンドリラーへと改造する。サタンドリラーは、両腕のドリルを使って春風町内を次々と破壊、機械化していくが、この事態に通報を受けたザウラーズが出動。ザウラージェットはザウラーズメンバーのうち、ジェット内にいなかった拳一とユカを回収、残る1人の金太も呼び出そうとするが拳一とユカがそれに反対する。6年生の金太が、小学生生活における最後の柔道大会に出場していて、そのラストチャンスを無にしたくないがための言動であった。
そして、ザウラーズはメンバーを1人欠いた状態でサタンドリラーとの戦闘を開始し、ザウラーメカ3体が優勢となるが、この状況に歯車王が月から飛来、サタンドリラーに巨大改造を施しパワーを強化する。
巨大改造されたサタンドリラーは、ドリルの掘削能力を活かした地中潜行によるヒット&アウェイの一撃離脱戦法をとり、金太がいないために動きが鈍いランドステゴに集中して攻撃を加える戦闘を展開。
分離状態では不利と判断したザウラーズは、ゴウザウラーに合体し、サタンドリラーに対抗しようとするが、それでもサタンドリラーの優位は崩れることはなく、遂にはゴウザウラーを押さえ込んでコクピットが位置する頭部をドリルで破壊する寸前まで善戦、歯車王の勝利は目前に迫っていた。
だが、そこへ仲間のピンチを見かねて柔道大会の決勝戦を放棄した金太が現れ、メインパイロットの拳一に柔道の要領で危機を脱するアドバイスを送る。これを実践したゴウザウラーは危機を脱すると同時にザウラーボンバーを打ち込み、それを食らったサタンドリラーは転倒。この隙に、金太はゴウザウラー内部に回収される。
その直後にゴウザウラー必殺のザウラーマグマフィニッシュが発動し、サタンドリラーは体躯を両断されて爆発四散。痛恨の逆転負けを喫した歯車王は、ギーグを伴って戦場を後にするのだった。

分析

至ってシンプルな戦法を採った今回は、最終的に「勝利する」ことが大事であった。結果的に敗れはしたが、最終的に「勝利する」ためのターニングポイントが、戦闘中にいくつも存在していた点を見逃してはならない。
機械化獣サタンドリラーの攻撃能力は申し分なく、金太が欠けていたために全力を出せなかったとは言え、ゴウザウラーが動力部に異常を来すほどのダメージを受けていることからも、それは明らかである。
そんな攻撃能力が高かったサタンドリラーが「勝利する」ためには、3体のザウラーメカが、ゴウザウラーに合体する前、即ち、金太が揃っていなかったため、動きの鈍っていたランドステゴに集中攻撃を行った時に一気にとどめを刺せればベストではあった。
もちろん、その際には他のザウラーメカの妨害があっただろうし、その場合はとどめを刺すまでには至らなかったかもしれない。しかし今回のサタンドリラーの戦闘内容を見ていると、欠員がいるために全力を出せないゴウザウラーが相手なら、とどめを刺して「勝利する」ことも可能だったと思えてならない。
それだけに、金太が逆転のアドバイスを送る前に勝負を決めてしまえなかったことが敗因だったのは明白で、戦闘内容がどうであれ、最終的に「勝利する」ことができなかったのは誠に残念であった。
ただ今回は、ザウラーズの金太の置かれた状況にこそ、当分析データは注目したい。小学生柔道大会に3年生時から出場していた金太は、5年生時まで必ず決勝戦で当たる対戦相手である権藤大三郎に勝つことができず、その全てが準優勝に終わっており、6年生の今回がラストチャンスであった。
そのラストチャンスにかける金太の意気込みは、必死の早朝練習からも窺うことができ、結果的に仲間のピンチを救うことを優先して決勝戦を放棄したため「不戦敗」になってしまったとは言え、最後に「勝利する」ために、自分ができる限りのことをしていた金太の姿勢は見習いたいものである。
「同じ相手に敗れ続けていた」という金太の状況は、ゴウザウラーに連戦連敗を喫していた歯車王の状況と何ら変わりなかったのだから。

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