第11話「超電磁バリア大作戦!」


概要

「ゴウザウラーディフェンスアップ計画」。それはザウラーズの教授が発案した、ゴウザウラーの防御力を高める強化計画である。この計画実現に必要な「超電磁バリア」は、計画発案者の教授が設計を、教授の発明仲間であるザウラーズメンバー・秀三が組み立てを担当した装置で、この超電磁バリアが実用の運びとなった場合、ゴウザウラーは電気の力で自らの周囲に強力な磁場を発生させ、敵のミサイルの軌道を逸らすことが可能となるのだ。
そんな「超電磁バリア」のテストが春風小学校の理科室で行われ、ミニチュアを使った第一次テストは見事に成功を収めた。続く第二次テストでは人間サイズの装置を用いた実験を行うこととなり、その実験台には拳一が選ばれる。そして、その決定を拒む拳一と、実験実施を強行しようとするザウラーズメンバーの間で起こった騒動の果て、理科室にいた全員が超電磁バリアによって感電する事態となってしまう。
その結果、クラスメイト全員から協力を断られてしまう教授だったが、「最初から彼らの協力はアテにしていない」と発言すると、秀三を伴って計画実現に向けた次の行動に移っていくのだった。
一方、そんなザウラーズの内情など知る由もない機械化帝国側は、歯車王の命を受けたギーグが機械化獣の素材探索を、苦労しながら行っていた。

実行

教授と秀三の2人は、機械化獣のために機械にされた春風町の一角まで、超電磁バリア発生装置の部品調達に赴くと、そこを管理する防衛隊に一度は制止されるが、その監視の目をかいくぐって、内部に侵入。使えるパーツを手当たり次第に入手していたところ、誤って一部の機械を倒壊させてしまい、ちょうど見回りに来ていた武田長官に発見されてしまう。
教授と秀三のとった行為を、ザウラーズ全体の連帯責任として、武田長官はゴウザウラーを強制的に取り上げることも辞さない姿勢だったが、教授の嘘泣きに騙されたザウラーズは一致団結。今回の教授の計画を成し遂げさせるべく武田長官に詰め寄ると、防衛隊の協力を得ることに成功する。
その夜、なかなか機械化獣の素材を発見できずにいたギーグは、昼間、教授と秀三が部品調達に来ていた場所で、押し潰されたバイクを発見、これを機械化獣バイクレイザーへと改造する。
翌日。超電磁バリア発生装置を装備したゴウザウラーに向かって、防衛隊が戦車と戦闘機からミサイルを発射するという、実戦的な第三次テストが実施された。しかし、超電磁バリアはミサイルの軌道を逸らすどころか、逆にありとあらゆる金属をゴウザウラーに吸い寄せてしまう。超電磁バリアは本来、磁場を発生させてミサイルを逸らす装置のハズが、実際には発生する磁力によって、ゴウザウラーを巨大な電磁石へと変貌させてしまっていたのだ。
その頃、町では前夜に誕生していた機械化獣バイクレイザーが破壊活動を行っていた。そのバイクレイザーに歯車王が巨大改造を施し、本格的な地球の機械化を開始しようとしていたところに、機械化獣出現の報せを受けたザウラーズが登場、戦闘が開始される。
バイクレイザーは驚異的な駿足力を活かし、ザウラーメカの攻撃を次々と回避。その一方で自らの攻撃を確実にヒットさせ、戦いを有利に運んでいた。そんなザウラーズのピンチに、教授は電磁石と化してしまった超電磁バリアを利用して、バイクレイザーの動きを封じようと提案。この考えを受けた拳一は超電磁バリアのスイッチを入れたものの、バッテリー切れの超電磁バリアは作動せず、機械化帝国サイドが優勢な状況のまま戦闘は展開されていった。
超電磁バリアの状態をチェックし、現状の問題点はバッテリーだけと判断した教授は、戦場の天気が雷雨に変化していたことに着目すると、秀三と一緒に雷のエネルギーをゴウザウラーに与えるための行動を開始。様々な危険や武田長官の度重なる妨害を跳ね除けた2人は、超電磁バリアの使用を可能にすることに成功し、教授の目論み通りにバイクレイザーはゴウザウラーに引き寄せられると、動きが止まった一瞬の隙をつかれ、動力部をザウラーバンカーで潰され、最大の武器である機動力を失ってしまう。
手負いのバイクレイザーはザウラーマグマフィニッシュの一刀のもとに破壊されてしまい、歯車王とギーグは月の機械化城まで逃げ帰るのであった。

分析

今回、最も注目したいのは、「ザウラーズの頭脳」とも言うべき教授が、初めて具体的なゴウザウラーの強化計画を実行している点である。
ゴウザウラーというロボットをエルドランから与えられ、機械化帝国と戦う使命を帯びたザウラーズとなった教授は、これまでの戦いにおいても、幾度か冷静な状況判断を行って、その勝利に貢献していた。だが、過去に歯車王が繰り出す機械化獣と10戦し、拳一をはじめとしたパイロットも、実戦経験を積んでそれなりに腕前が上がっていたであろうにもかかわらず、戦いを重ねる度、苦戦することが減少するどころか逆に多く見られた。特に対ヘルジャイガー戦の際は、他ならぬ教授自身が「機体の性能の差はどうにもならない」と、諦めに近い絶望感を抱いていたのである。これらの事実が教授に「ゴウザウラーの機体性能ばかりに頼ってもいられない」という危機感を持たせたのだろう。
その危機感が、ゴウザウラーをパワーアップさせる計画の立案を後押しし、今回、実行に移された「ゴウザウラーディフェンスアップ計画」は、教授の考えが現実に具象化された、最初の事例となった。流石に最初の事例だけあって、超電磁バリア発生装置の完成度は低かったどころか、実質的には失敗作だった。ところが、そんな当初の計画とは真逆の結果を生み出してしまった失敗作の超電磁バリアが、敵の動きを封じる磁石として利用できる点に気付くなど、ザウラーズを勝利に繋げる教授の咄嗟の判断力と行動力は、今回の時点で既に発揮されていたことが分かる。
その頭脳的行動力で、このあとザウラーズに最も貢献することになる教授の、参謀としての萌芽が見られた今回の戦闘は、教授の存在がのちのち機械化帝国の脅威となることが示された最初のケースとして、記録にとどめておきたい。

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