第12話「ピンチピンチの大決戦」


概要

放課後の春風小学校体育館。この日は、ここでザウラーズの拳一、チョビ、ボンの3人がサッカーボールとバスケットボールのゴールを使用した「バスケットサッカー」に興じていた。そしてサッカーが得意なチョビに対し、拳一とボンが2人でかかるというエスカレートの果てに、体育館に飾られていた「真実一路」と書かれた掛け軸が破損してしまう。校長先生が大切にしている掛け軸だけに、何とか修理して元通りにせんと考えた3人は、ボンの家で修復作業を行うことを決めると、人目を避けて掛け軸を運び出すのだった。
その頃、月の機械化城には、自分が敗れ続けるゴウザウラーには何故あれほどの力があるのか、疑問を抱く歯車王の姿があった。そんな歯車王の前に、三度姿を現した機械神は、なかなか進展を見せない地球の機械化の催促と、それが完了できない場合の歯車王の処刑を言い残して姿を消した。
そして次の日の朝。ザウラーズ側は拳一が寝坊したため、朝礼が行われていた体育館に修理した掛け軸を戻せず、とりあえず掛け軸を6年2組の教室に隠す処置を取り、機械化帝国側は地球に派遣されていたギーグが故障した電動ヒゲ剃りから機械化獣シャドーシェーバーを造り出し町で暴れさせていた。
こうして、メインパイロットの拳一、レーダー担当のチョビ、右動力室担当のボンが、問題を抱えた状態で機械化獣と戦うという、機械化帝国側にとって思わぬ好機の中、今回の地球攻略作戦は実行された。

実行

町で破壊活動を行うシャドーシェーバーに、まずは防衛隊が攻撃をしかけてくるが、シャドーシェーバーは戦車を腕のカミソリで切断、破壊すると、そのまま町の破壊活動を続行せんとする。
しかし、そんなシャドーシェーバーの前に、防衛隊から連絡を受けたザウラーズがザウラージェットで急行してくる。この展開を良く思わないギーグ。が、その前に歯車王が月から飛来すると巨大改造を行いシャドーシェーバーをパワーアップさせて、地球を機械化する。
このシャドーシェーバーをザウラージェットから分離した3体のザウラーメカが攻撃するが、大したダメージを与えられなかったため、敵はゴウザウラーに合体して攻撃力を高める戦法を選択。これに対しシャドーシェーバーは、自らが機械化した建物をボディに備える回転刃で削って周囲に鉄粉を散き、相手の視界を奪うと同時にレーダー網をもマヒさせる。完全にその姿を消すことに成功したシャドーシェーバーは、ギーグの助力でゴウザウラーの位置を知り、遠方からミサイルを撃ち込む攻撃を展開する。この事態に教授は熱源反応でシャドーシェーバーの位置を特定する方法を提案。それによってシャドーシェーバーが攻撃を行う方向は知られてしまうものの、メインパイロットの拳一がゴウザウラーが動き回ることで、6年2組の教室が変化した指令室にある掛け軸が壊れることを危惧するあまり、ゴウザウラーは、シールドでガードするという防戦一方となってしまう。更に、戦闘中でも掛け軸が気になるレーダー担当のチョビ、動力担当のボンも持ち場を離れ、果てはメインパイロットの拳一も指令室に様子を見に行くなど、ゴウザウラーの戦力は著しく低下していた。
しかしシャドーシェーバーの度重なる攻撃が、今回のザウラーズにとって最大の問題だった掛け軸を修復不能としてしまい、この事態に3人は機械化獣を倒し、一刻も早く校長先生に謝ることを決意。3人の迷いが吹っ切れた結果、シャドーシェーバーはチョビの正確なレーダー探知で居場所を読まれ、更にはボンの機転で右腕にパワーを集めたゴウザウラーのフルパワーパンチを顔面に叩き込まれてしまう。
強力なダメージを被ったシャドーシェーバーは、ゴウザウラー必殺のザウラーマグマフィニッシュで爆散し、またも歯車王は一敗地にまみれてしまうのだった。

分析

歯車王がシャドーシェーバーに巨大改造を施して、最初に行った地球の機械化。それを利用した鉄粉散布戦法は一旦は成功したものの、熱源反応で位置を特定されてしまうのでは、安心してゴウザウラーに接近できないし、事実、一度とは言えシャドーシェーバーはゴウザウラーに捕まって脱出困難となっており、メインパイロットの拳一が掛け軸に気を取られなければ、もっと呆気なく敗れる事態も起こり得た。
このためか、歯車王は近距離攻撃よりもミサイルを遠くから撃ち込む遠距離攻撃を多く行っているが、ミサイル攻撃だけで打倒ゴウザウラーを成し遂げるのは、少々厳しいものがあった。シャドーシェーバーの機動力がもう少し高ければ、積極的に近距離攻撃を行うことができたと思われるだけに、シャドーシェーバーが絶大なそのパンチ力を存分に活かすことなく破壊されてしまったのは、誠に遺憾であった。
しかし今回は歯車王が月の機械化城で言った「何故ゴウザウラーにあれほどの力が」という言葉にこそ注目したい。ゴウザウラーの力は、それを操縦するザウラーズの力であり、ザウラーズの心が生み出す力なのである。
このゴウザウラーの強さの秘密は、後に2代目指揮官の電気王が死の間際に気付き、3代目指揮官のエンジン王がその解答に辿り着くのだが、その強さの秘密を知ることは、機械化帝国の最大のタブーに他ならない。それだけに機械化帝国の掟を守った歯車王には、ゴウザウラーの強さの秘密を理解し、それに勝利することは、残念ながら難しかったと言わざるを得ないだろう。

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