第14話「緊急事態!戦う保健室」


概要

太陽系の制圧に手こずり、今しばらくの猶予を欲する歯車王に対し、遂に機械神は今回が「最後のチャンス」だと宣告する。一方地球では、ゴウザウラーへの必勝を期して機械化獣の素材を探すギーグが、冷蔵庫の重量感と頑丈さに着目し、それを素材とした機械化獣アイスクラッシャーを誕生させた。
作戦実行現場における、上司の歯車王と部下のギーグ。この両者が、図らずも打倒ゴウザウラーという目的を普段より強く意識し、志向を一致させることができた今回。
機械神から「無能な機械は破壊するのみ」と詰られ、機械王としてのプライドから「最後のチャンス」に闘志を燃やす歯車王が、全身全霊をかけて勝負に臨めば、これまでの戦闘では得られなかった結果が付いてくるものと期待する。

実行

打倒ゴウザウラーを果たし、自分が無能な機械ではないことを証明せんとする歯車王は、地球に飛来するや巨大改造で機械化獣アイスクラッシャーを強化。機械化獣活動現場へとやってきたザウラージェットに対して攻撃を仕掛けると、熱血合体したゴウザウラーにも猛攻を加え、優勢な戦闘を展開する。
実は、ゴウザウラーのメインパイロットである拳一が盲腸に倒れており、ゴウザウラーは本来の力を発揮できずにいたのだが、勝利を掴むための重要な要素のひとつである運すらも、歯車王は今回、味方に付けていたのだ。加えて、強化前のアイスクラッシャーが行った破壊活動で氷結した春風町の病院では拳一の盲腸を手術することができず、ザウラーズはかつてない危機を迎えていた。
しかしこの緊急事態に、ザウラーズメンバーのひろみの母である外科医の小夜子が、ゴウザウラー内部の保健室で拳一の盲腸手術を執刀。この手術のために、動きが鈍るゴウザウラーは劣勢を呈し、これに好機を見出した歯車王は、ゴウザウラーに組み付いて電撃を加え、とどめを刺しにかかる。
だが、あと一歩というところで拳一の手術が無事に終了。ゴウザウラーはここに反撃のウォータービームを発射、アイスクラッシャーは体中の氷を解かされるという強力なダメージを被り、ゴウザウラーからも引き剥がされてしまう。
間髪入れず、必殺のザウラーマグマフィニッシュがアイスクラッシャーに炸裂。機械化獣が爆発を起こす中、勝利への執念を見せる歯車王だったが、機械化獣の大破寸前にやむなく脱出。
機械神からの「最後のチャンス」を活かせなかった歯車王は、処刑を免れられぬ身となってしまうのだった。

分析

戦闘経験を積んだザウラーズが操縦するゴウザウラーが、もはや歯車王の手に負えない相手となったことは前戦の結果からも明らかである。しかし、それも「万全の状態のザウラーズ」が相手だった場合の話で、そういう意味ではメインパイロットの拳一が盲腸に倒れた今回は、まさしく千載一遇のチャンスだったと言える。この状況に加えて、ギーグが素材を吟味した上で生み出した機械化獣アイスクラッシャーを得た歯車王が「最後のチャンス」に全力で臨んだのだから、決して勝利の可能性が0だった訳ではない。
では、これだけの有利な状況を得て、どうして歯車王が勝利することができなかったのか。それは、完成された機械の歯車王という「個」の強さよりも、未完成な人間のザウラーズという「集団」の強さの方が上だったからに他なりはしない。
歯車王が、たとえどれだけ強力な機械化獣を従えられたとしても、歯車王自身が完成された機械王である以上、そのスペック以上のものを出すことは、残念ながらできない。一方のザウラーズは、未完成であるからこそ、まだまだ強く成長する可能性を秘めている上、人間である彼らはその強さを増大させる心を持っているのである。
歯車王は遂に自分が敗れ続ける本当の理由に辿り着けなかった。だが、それに辿り着くことは、機械化帝国のタブーを破ることになってしまうので、歯車王が勝てなかったのも、仕方がないと言えば仕方がない。
しかしながら、機械神が心の研究それ自体を禁じたことが、後々の機械化帝国滅亡の原因となってしまう。そのことが、この時点でほぼ明確になっている点にこそ、当分析データは注目したい。

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