第17話「強敵!電気王の挑戦!!」


概要

“太陽系機械化計画”の二代目指揮官に就任した電気王は手始めに、未だ手付かずの状態だった金星と水星を僅か3日間のうちに完全に機械化。唯一残された形となった地球に完全にターゲットを絞った。そして電気王は、歯車王亡き後も生き残り、自分に擦り寄ってきたギーグを、歯車王と同じ負け犬として粛清する。こうして、真に月の機械化城を自分の色に染め上げた電気王は、機械神の命令により、北極へと向かうことになる。機械神曰く、機械化帝国に逆らう力が6400万年の時を超えて、いま甦らんとしているというのだ。
果たして、ここに初陣を迎えた電気王は、対ゴウザウラー用の兵器・ハイパーエナジーミサイルを用意して、北極へと向かうのだった。

実行

電気王が向かった北極には、既にザウラーズと防衛隊の姿があった。ザウラーズは防衛隊から6400万年前から存在していたメカ…ザウラージャイロを発見したという報告を受けて、防衛隊と共に北極まで来ていたのである。
そんなザウラーズの眼前に電気王が出現。電気王はザウラーズの子供達を守ろうとする防衛隊の攻撃を軽く蹴散らすものの、力ある者との戦いを好む性格の電気王は、弱い人間を倒しても面白くないとしてザウラーズの子供達には手を出さず、ゴウザウラーに搭乗して自分と戦うように促した。
しかし、「力には力」という考え方を持つ、ザウラーズメンバー・金太は、電気王の発言に逆上し、電気王に掴みかかるが軽くいなされてしまう。そこで金太は、発見されたばかりのザウラージャイロで電気王に向かっていくが、電気王は自らの力を示すべく、巨大発動によって防衛隊の砲台を、戦闘機械化獣バロンガーノンへと変貌させる。
バロンガーノンが金太の乗るザウラージャイロに砲撃を加えたため、残ったザウラーズメンバーがゴウザウラーを出動させると、バロンガーノンとゴウザウラーの衝突に、戦闘開始の合図を感じた電気王は、自らの専用ロボット・デスボルトに搭乗、バロンガーノンを制し、ゴウザウラーとの一騎打ちに出る。
果たして、その強大な力でゴウザウラーを圧倒したデスボルトは、歯車王を倒したゴウザウラーの、これまでの戦歴に敬意を表し、バロンガーノンにセットしたハイパーエナジーミサイルを使って、一撃のもとにゴウザウラーを葬ることを宣言する。ハイパーエナジーミサイルには、水星と金星を機械化した際に生じたプラズマエネルギーを封じ込めてあるため、これが命中すれば、たとえゴウザウラーといえども、分子崩壊を起こして消滅してしまうのだ。
ゴウザウラーに照準がセットされ、いよいよ発射の時を迎えるハイパーエナジーミサイル。が、ハイパーエナジーミサイルは、金太の操縦するザウラージャイロの乱入に軌道が狂ってしまうと北極の上空で爆発。その結果、6400万年前の世界に通じる時空の穴を作り出してしまう。
その時空の穴の先に、ゴウザウラーとは別の新しいロボット…マグナザウラーの反応を感じた金太は、ザウラージャイロで時空の穴の中へと入っていく。一方、ハイパーエナジーミサイルによるゴウザウラー抹殺を失策した電気王は、ゴウザウラーを嬲り殺しにせんと、バロンガーノンと共に、戦闘を再開するのだった。

分析

電気王の登場は、明らかにザウラーズに心理的な動揺を与えていた。
前戦で敗北した歯車王を一撃で消滅させたことや、ゴウザウラーへの挨拶代りに放った電撃が強力だったことに加えて、水星と金星が機械化されてしまい、太陽系で残っているのは地球だけになったという事実が、何よりもザウラーズにとってのプレッシャーとなっていた。
もちろん、力対力の真っ向勝負こそ信条の電気王が、心理作戦を弄した訳ではないのだが、知らず知らずのうちに自分にとって有利な状況を作り上げていたのは、電気王の戦士としての運とも言える。しかし電気王は、自らに向いていた運を活かせなかったばかりか、逆に大きなミスを2つも犯してしまった。
第1のミスは言うまでもなく、自らの目の前にいた丸腰のザウラーズを、力ある者との戦いに拘って見逃してしまったことである。
かつて歯車王も、機械化獣バッドバーストの内部に、クーコ、ユカ、はるえの3人を閉じ込めながら、それを有効活用できなかったことがあった。しかしあの時は、まだザウラーズなる子供達が、ゴウザウラーを操縦していることが判明していなかったため、ある意味、仕方が無い面もあった。しかし、今回の電気王は、明らかにザウラーズの子供達がゴウザウラーの操縦者だと認識していながら、それを敢えて見逃してしまっているのだ。ゴウザウラーに最も楽に勝てる、まさしく千載一遇のチャンスだっただけに、自らの信条を戦いに介入させた電気王が指揮官でなければ、と思わせる瞬間であった。
そして第2のミスは、「力には力」という考え方をしていたザウラーズの金太が、ハイパーエナジーミサイルの攻撃からゴウザウラーを救った際に「力より心」だと気付き、1人の人間として成長してしまったことである。ザウラーズの強さは、心を持った人間同士が、お互いを思いやることによって、無限の力を引き出す点にこそあるのだ。もし金太が、このあとマグナザウラーという新戦力を無事に入手できていたとしても、心に何らの成長もなく、電気王の力にマグナザウラーの力で応戦するというような戦い方をしていたなら、ザウラーズが電気王に勝つことは難しかったと思われる。そう考えるとこの第2のミスは電気王が犯した最も大きなミスだったということもできる。
最後に、ハイパーエナジーミサイルに関して言えば、それ自体は強力な破壊力を持った武器で、力を好む電気王らしい代物ではあった。だが、強力な武器は、使い方次第で自らの首を絞めかねない、「諸刃の剣」の側面を持っているのも事実である。よって、特別な兵器を使用する際は、その運用方法に細心の注意を払わなければならないことが、今回の戦闘からも分かろう。

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