第20話「侵入者をさがせ!」


概要

初陣に続き、2戦目も落とした電気王は、機械神との謁見の場において、敗戦の釈明は一切行わず、自らの力をもって必ず地球を機械の惑星に変えることを宣言。更に、自分は死を恐れないため、気に入らなければいつでも処分してくれて構わない旨、機械神に伝えた電気王は、ゴウザウラーへの闘志を新たに出撃する。
そして、地球にやってきた電気王は、防衛隊基地にて発見した最新型戦車・ビューティータケダ1号を、巨大発動で戦闘機械化獣ゲーパルドンに変えると、防衛隊基地を壊滅状態に陥れた。
こうして万全の準備を整えた電気王は、ゴウザウラーに戦いを挑むため、ゲーパルドンを引き連れて、町に向かって進撃するのだった。

実行

町に到着したゲーパルドンは、自身の重量によって町の破壊を行いつつ、同時に機械化作業も進行させていたが、その行動を妨害せんと、マグナティラノが現れる。そこで電気王は、ゲーパルドンをマグナティラノに差し向ける一方で、自らはデスボルトに搭乗すると、ザウラージェットに狙いを定めて攻撃を開始する。
「打倒ゴウザウラー」こそが宿願の電気王は、デスボルトから電撃や光弾を放って、ザウラーズに戦いを促すが、ザウラージェットは逃げの戦法をうち、それを崩そうとはしない。実はこの時、ザウラージェットの中にはネコが紛れ込んでいて、合体機構の稼働によってネコの命が危険に晒されることを危惧したザウラーズは、ネコの発見・捕獲が行われるまで、ザウラージェット形態のまま、戦闘を極力避けて行動していたのだ。そのためにザウラーズは、やっと訪れた反撃のチャンスでさえも、ネコがミサイルの格納庫に逃げ込んだばかりにジェットミサイルが発射できないなど、デスボルトに苦戦を余儀なくされる。だが、ネコが格納庫にいることが判明し、変形や合体を行ったとしても、ネコに被害が及ばないことが分かったザウラーズは、ネコを飼育委員の育代に任せて、ゴウザウラーへの合体を完了させる。
敵がゴウザウラーに合体したのを見て、遂にザウラーズが戦う気になったと判断した電気王は、機械化獣ゲーパルドンと共に、ゴウザウラー、マグナザウラーとの戦闘を開始するが、ネコが未だ捕まっていない状況のため、ゴウザウラーは戦うことには消極的な姿勢を見せる。そんなゴウザウラーに電気王は苛立ちながらも攻撃を加えるが、この電気王が駆るデスボルトの相手をマグナザウラーが務めることで、ゴウザウラーの被害は最小限に抑えられる。
しかしデスボルトに代わり、今度はゲーパルドンがゴウザウラーに攻撃を開始。そして、戦闘中にミサイルの格納庫を飛び出し、ゴウザウラーの外に逃げたネコとそれを追った育代が、ゴウザウラーの胸部にいるのを確認したザウラーズは、ゲーパルドンの攻撃をかわすこともままならず、ひたすら防御せざるを得ない状態に追い込まれる。
このネコは、今回の戦闘前に、飼育小屋を荒らしたことで育代に叱られていた上、ザウラージェット内部への侵入者として、その捕獲を試みるザウラーズメンバーに追い回された経緯もあって、人間に対する恐怖心を抱いていたのだが、自分のことを心配する育代の姿を見て、その気持ちを理解したのか、ネコは爆発の巻き起こる中、育代の胸に飛び込んで、遂にその安全を確保される。
果たして無事にネコを保護したザウラーズは、デスボルトとゲーパルドンに対して反撃を開始。ザウラーショットとマグナボンバーで敵に大きなダメージを与えたザウラーズは、続け様にマグナバスターからザウラービッグバスターを放って、ゲーパルドンを破壊した。
こうして機械化獣を倒された電気王は、今回も戦場を敗走する憂き目を見てしまうのだった。

分析

勝利するチャンスは、今回も十分すぎるほどあった。中でも、ザウラージェット内部のネコの身を案じて、ザウラーズが逃げの戦法しかうてなかったことは最たるもので、この時に一気に攻め立てていれば勝利を手にすることもできたハズだが、やはり今回もこれまでと同様に、電気王の「力ある者と正々堂々と戦いたい」という拘りが、勝利を逃す足枷となってしまった。
しかしながら、今回の戦闘の中で興味深かったのは、電気王が、戦う気があったマグナザウラーを機械化獣に任せ、自分はデスボルトを呼び出して、ザウラージェットを挑発し続けた点である。
マグナザウラーは、ゴウザウラーと比較しても、決して力が劣っている訳ではない。この点で、今回の電気王がマグナザウラーを相手にしなかったことは、前回の戦闘で、中島先生の運転するジープを相手にしなかったこととは、その中身が大きく異なる。
この辺りを憶測すると、電気王が言う「力ある者」とは、あくまでも歯車王の攻撃を退けた、ゴウザウラーのことであり、それ以外のロボットは無論、ザウラージェットや3体のコアロボなど、ゴウザウラーの他形態でさえも、電気王の希望する対戦相手ではなかったのではないだろうか。
そして、電気王が「打倒ゴウザウラー」に拘る理由も、電気王が誕生したばかりの機械王であるがために、機械化帝国における実績というものが皆無だった点も無関係ではなかったように思える。仮に電気王が、歯車王部隊の攻撃を退けたゴウザウラーを倒したなら、電気王のゼロだった実績に、大きな、輝かしい実績が加えられることになるからだ。そしてその勝利は、策略を用いた末に手に入れたものや、「勝てば官軍」的な、中身を伴わない勝利ではなく、あくまでも正々堂々の勝負の末に自分の力で勝ち取った、中身を伴った勝利でなければならないというのが、電気王の拘りだったのではないか。
だとすれば、電気王を「力押しを主体とした、ゴウザウラーとの正々堂々の勝負」に執着させたのは、その武人的な性格に加えて、電気王自身の、機械王としての歴史の浅さや、指揮官としての実績の無さも、大きな理由としてあったのかもしれない。

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