第21話「銀河系デスマッチ!」


概要

電気王は、宇宙空間に浮かぶ軍事衛星に目を付けると、それを巨大発動によって戦闘機械化獣サドレイガーへと変貌させる。そして、その口部に位置するアンテナより、地球に向けて機械化光線を照射、世界各地を宇宙から機械化するという、大規模な機械化作業を挙行した。
電気王の狙いは、地球全体を文字通り人質として、ゴウザウラーを宇宙まで誘き寄せることにある。宇宙での戦いを、ザウラーズは経験したことがない。よって、サドレイガーと共に宇宙空間でゴウザウラーを待ち受ければ、電気王が勝利する可能性も自ずとアップしよう。

実行

防衛隊の武田長官から、宇宙空間の機械化獣撃滅を頼まれたザウラーズは、宇宙へと飛び立つ決心を固め、機械化獣退治に出発する。
一方、宇宙からニューヨークを機械化中のサドレイガーは、そこにザウラージェットが現れたため、機械化行為を邪魔されると、そのまま戦闘に突入。高機動力を誇るサドレイガーに対し、ザウラーズはザウラージェットから各ザウラーメカへと分離するが、陸戦メカのランドステゴとサンダーブラキオの動きは鈍く、不利を感じたザウラーズはゴウザウラーへと合体。同時にマグナティラノもマグナザウラーへと変形する。
マグナショットとザウラーボンバーで、顔面を潰されたサドレイガーは、自身の“エネルギーリング”を作り出す能力を発動。この戦闘展開に時宜を得た電気王は、デスボルトで戦場に到着する。
そして、四方を電流の流れる壁に囲まれたエネルギーリングを舞台として、デスボルトとゴウザウラー&マグナザウラーの戦闘が開始。電気王はエネルギーリングを最大限に活かした戦いを披露、1体でゴウザウラーとマグナザウラーに猛攻を加え、ザウラーズを窮地に追い込んでいく。
そのため、撹乱戦法しかないとの教授の言葉に従い、ゴウザウラーを分離させるザウラーズだったが、デスボルトに向かっていったサンダーブラキオが、エネルギーリングの壁に向けて放擲され、あまつさえその首部が、エネルギーリングの壁を突き破るほどのダメージを与えられたため、パイロットのしのぶが気を失ってしまう。
更に、エネルギーリング内に残された、マッハプテラ・ランドステゴ・マグナザウラーの3体に電撃を浴びせて優勢を誇るデスボルトだが、その頃、気を失っていたしのぶが意識を回復。その目に飛び込んできた仲間のピンチを救うため、サンダーブラキオが行動不能の現状に、自らミサイルを機械化獣の体内に投げ込むことを決意すると、宇宙服を着てコクピットから宇宙空間へと飛び出すのだった。
一方、電気王はザウラーズを挑発、果たしてそれに乗った金太が、マグナショットをデスボルトに向けて放つ。だが、これをデスボルトは難なく回避。そのため、マグナショットは、エネルギーリングの壁を直撃するが、この時、偶然にも、その爆発付近にいたしのぶが悲鳴をあげたため、その存在に気付いたサドレイガーは、体内から触手を放つと、しのぶを拘束する。
この、しのぶのピンチを聞かされた拳一は、ランドステゴとマグナザウラーの援護を得て、しのぶの救出にマッハプテラでサドレイガーの顔面部に突撃。この攻撃により、サドレイガーの触手から脱出したしのぶは、ミサイルを機械化獣の体内で爆破させて、エネルギーリングを消滅させることに成功する。
ここに、反撃のゴウザウラー合体を果たしたザウラーズ。拳一は電気王への怒りを露にするが、そんな拳一に対してさえ、それでこそ倒しがいがあると喜びを覚える電気王は、一瞬の隙を狙ってマグナザウラーを捕らえたサドレイガーに、マグナザウラーを道連れにした地球への落下を命じる。マグナザウラーを救助に向かったゴウザウラーを追ったデスボルトは、大気圏に突入しながら戦いを続行。大気圏落下中に展開されるゴウザウラーとの戦いを楽しむ電気王だったが、拳一の機転で放たれたマグナショットが、サドレイガーのボディを壊し、その壊れたボディの破片がデスボルトをゴウザウラーから引き剥がさせた。そして、ザウラーショットでマグナザウラーを助け出したゴウザウラーは、ザウラービッグバスターでサドレイガーを爆発四散させ、地球への生還にも成功を見る。
こうして初の宇宙を舞台にした戦いは、ザウラーズに宇宙戦での自信を得させて幕を閉じるのだった。

分析

以前より、地球の機械化よりも打倒ゴウザウラーに重きを置いていた節のあった電気王だが、今回の戦いではそれをハッキリと窺うことができた。
宇宙空間から地球上を機械化したならば、地球人にはどうすることもできなかった。加えて、今回はこれまでのように春風町だけではなく世界規模で被害があった訳で、機械化帝国にとってサドレイガーの機械化能力は、これ以上なく素晴らしいものだった筈である。
だが電気王にとっては、この世界規模での機械化さえも、ゴウザウラーを誘き出すための手段でしかなかった。地球を機械化してしまえば、機械化帝国内での名声もそれなりに得られたはずだが、やはり打倒ゴウザウラーに強く拘る電気王の問題点を、認識せずにはいられない。
また宇宙戦がザウラーズにとって初体験だったため、宇宙での戦闘自体はやはり電気王に有利であった。ところが、そんな宇宙戦にあっても、知恵と勇気を振り絞って、最善を尽くさんとしたザウラーズの前に、力押しの戦いを楽しんでいた電気王は敗れてしまった。組織の目的を二の次として、常に個人の欲求を優先させる電気王の指揮官ぶりは決して褒められたものではない。だがこれは、ゴウザウラーを倒すことで、相殺できる類の罪ではある。故に、ゴウザウラーを倒すことに拘った電気王が、それを成し遂げられなかった罪は極めて重い。
更に言えば、自分の戦闘に対する欲求から、ザウラーズに様々なバトルフィールドでの戦闘を経験させた結果、彼らをザウラーメカのパイロットとして成長させたことも電気王が犯した大きな罪であろう。後にザウラーズは、エンジン王に誘われる形で、月の機械化城へと向かうことになるが、もしもこの時、ザウラーズが過去に宇宙で戦った経験がなかったら、それでも躊躇なく宇宙に出ることができたかどうか。
そうでなくとも、機械化帝国の前線基地が月にある限り、ザウラーズがいずれは、宇宙戦を行わなければならなかった可能性は高かった。そういう意味でも、ザウラーズが、ザウラーメカのパイロットとして未熟な部分を持っているうちに、危険の芽を摘むべきだったと言えるだろう。

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