第22話「洋二、男の旅立ち!」


概要

地球に降り立った電気王は、海中を航行する防衛隊の最新鋭戦闘潜水艦に目を付けた。
電気王の姿を発見した潜水艦の乗組員は、ミサイルを次々と発射して電気王に挑むものの、その全ての攻撃は無力に等しく、簡単に戦闘潜水艦は電気王の手に落ちてしまう。果たして電気王は、戦闘潜水艦を機械化獣レドクーバーに変貌させると、ゴウザウラーを誘き出すべく春風湾へと向かうのだった。
一方ザウラーズでは、洋二が夏休み中の受験勉強を家族から強要されることに嫌気が差して、冒険と男のロマンを求めて家出を決行。たまたま停車していたトラックの荷台に忍び込んでの家出は、春風町にトラックが戻ったために失敗したものの、洋二の気持ちに同調した拳一、ボン、チョビの協力もあり、洋二は春風湾に停留していたタンカーへの密航を成功させる。
だが、洋二の乗ったタンカーは、拳一、ボン、チョビ、しのぶ、ひろみ、エリーらの眼前で、ゴウザウラーの誘き出しを図る電気王の襲撃を受けてしまう。こうして、エリーから連絡を受け、ザウラージェットを発進させたザウラーズと、ゴウザウラーとの対決を期した電気王が春風湾に集結。今回の戦いの幕が、今まさに上がろうとしていた。

実行

洋二が乗ったタンカーは、レドクーバーに襲われたことで、その乗組員は全員がタンカーを捨てて脱出。そのため、タンカーには洋二が1人残された恰好となっており、操縦もされないタンカーにレドクーバーが襲いかからんとしたその時、間一髪でザウラージェットが飛来。洋二がタンカーに乗っていることを知っているザウラーズは、洋二を救出するため、ザウラージャイロに乗った金太が洋二のもとに、救助用のロープを下ろす。だがその時、教授からタンカーが原油を満載していること、もしそれが流出すれば春風湾が死の海になってしまうという情報が届く。そして、それを回避するには、洋二がタンカーの舵を操作して、転覆を避けるしかないという。
果たして洋二にタンカーを任せたザウラーズは戦闘態勢に入り、この時を待ちかねていた電気王は、デスボルトに搭乗する。
ゴウザウラー対レドクーバー、マグナザウラー対デスボルトの組み合わせで戦闘は展開されるが、水中戦はやはりレドクーバーにとって有利であり、ゴウザウラーとの戦いはほぼ互角、一進一退の攻防となる。一方、デスボルトも、ボルトブレスターでマグナザウラーを水中に叩き込むと、ゴウザウラーとマグナザウラーの2体をレドクーバーに鎖で捕獲させる。
この状況を受けてレドクーバーは頭部のスクリューを回転させ、渦巻きを発生させると、捕獲したゴウザウラーとマグナザウラーの2体を、その中に巻き込ませて破壊せんとするが、洋二の乗ったタンカーも、その近辺にいたため、この渦巻きに巻き込まれていく。
その頃、ザウラーズの教授によって、レドクーバーの弱点がスクリューであることが敵に判明してしまうが、鎖に捕獲されたゴウザウラーのザウラーキャノンでは狙いが定まらず、レドクーバーにダメージを与えることができなかったため、レドクーバーの弱点が敵に発覚してなお、電気王の優位は変わらなかった。だが、ザウラーブレスを通じてレドクーバーの弱点を聴いていた洋二が、ザウラーキャノンの流れ弾によって自分の近くに落下していた鉄柱を握ると、レドクーバーへ飛び移り、その弱点の破壊を狙う。
タンカーに乗っている洋二の行動を知らない電気王は、なかなかゴウザウラーとマグナザウラーを水中に引きずり込めないレドクーバーに対してイライラを募らせるが、そうした機械化帝国側のもたつきの間に、仲間のピンチに勇気を振り絞った洋二が弱点のスクリュー部分に渾身の一撃を見舞ったため、レドクーバーは活動停止状態となった上、ゴウザウラーとマグナザウラーに鎖から脱出されてしまう。
この突然の状況の変化に戸惑う電気王のデスボルトは、自由の身となったゴウザウラーの体当たりによって海中に落下。そして、水中で威力が倍増されるゴウザウラーのウォータービームの前にレドクーバーは海の藻屑と消え、デスボルトは右腕を破壊されてしまう。
こうして、大きな損傷を負った電気王は、月の機械化城へと遁走するのだった。

分析

機械化獣の素材選定と、その製造方法に問題があったように思われる。電気王は戦闘潜水艦を見た際に、「水の中を行く戦艦」という所に興味を示し、それを「愉快な兵器」と評しているが、この点からは電気王の「潜水艦を使えば戦闘が面白くなりそうだ」という考えが透けて見え、レドクーバー製造からは、ゴウザウラーへの必勝という気持ちが希薄な印象すら受けてしまう。もちろん電気王が「正々堂々とした戦闘の果てに得られる勝利」という拘りを、簡単に捨てる訳はないのだが、潜水艦を素材とした機械化獣を率いて戦いを楽しんだという印象が拭えないのも、また事実である。
なにはともあれ、戦闘潜水艦を素材として誕生したレドクーバーは、水中ではゴウザウラーを凌駕する能力を発揮して、流石に水中戦用の機械化獣というところを見せ付けていた。だがこのことは、裏を返せば「水中でなければ真価が発揮できない」ということであり、それは自動的にレドクーバーの活動範囲が水の中に限定され、それ以外のフィールドでは戦力足り得なくなることを意味している。地球の大半が海であり、日本が周囲を海に囲まれた島国だとはいえ、レドクーバーがあまりにも戦略的に用途の狭い機械化獣になってしまった感は否めない。
また、レドクーバーの頭部にはスクリューがあり、それを使って渦巻きを発生させ、そこに敵を巻き込んで粉砕するというのが最大の攻撃方法であった訳だが、この普段はカバーで覆われているスクリューが弱点でもあり、ここが損傷すれば機能停止状態となってしまうほどのアキレス腱であった。実戦では、たかが小学6年生男子の洋二に、鉄柱を突き立てられただけで機能停止状態に追い込まれており、もし、ゴウザウラーのザウラーキャノンが正確に照準されていたら、その一撃で爆発四散していたのではないかとさえ思わされてしまう。レドクーバーを機能停止に追い込んだ洋二が、戦闘に巻き込まれたタンカーに乗っていたことは、確かに電気王にとっては計算外だったのかもしれないが、それにしてもレドクーバーは、兵器としてはあまりにも脆弱すぎたと言わざるを得ないだろう。
今回の戦闘で必勝を期すならば、徹底的な水中戦を挑む以外に方法はなかった筈だが、実際には、ゴウザウラーとマグナザウラーを水中へ引きずり込むことでさえ、電気王はその殆どをレドクーバー任せにしており、電気王とレドクーバーの連携が上手く取れなかったために、レドクーバーの得意とする水中戦に持ち込むことなく敗れてしまった点には、甚だ疑問が残る。レドクーバーの能力をフルに活かせる、徹底した水中戦を挑んでいたなら、また違った結果が得られていた可能性は無きにしも非ずであった。
なお、ゴウザウラーは今回、水中で威力が倍増するウォータービームを使ってレドクーバーを破壊し、更にはデスボルトの右腕までも粉砕している。自分たちにとって得意な戦闘フィールドが、必ずしも相手にとって苦手な戦闘フィールドになる訳ではないことは、記憶しておくに値する教訓であったと言えよう。

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