第23話「決戦!最後の夏休み」


概要

ゴウザウラーに連戦連敗中の電気王に対して、機械神は力だけでなく、策略も使うように命じた。力による勝利を何よりも重んじる電気王は、この機械神の命に不満を抱きながらも、渋々承諾。ゴウザウラーに勝つ一番の策はザウラーズの子供達を抹殺することだと自覚しながら、それほどまでに卑怯な戦い方ができない電気王は、ゴウザウラーの戦闘パターンを分析して対抗する策を用いることに決定する。
やがて、ゴウザウラーの戦闘パターンは100通りに分析され、完全に戦闘時の行動が予測可能となったことを確信した電気王は、前回の戦いで損傷した右腕を強化・修理されたデスボルトで出撃。更に、防衛隊の発射した迎撃ミサイルの1つを戦闘機械化獣ドグマホークに変貌させると、データバンクシステムによる戦闘を行うべく、ゴウザウラーの誘き出しを図って、春風町に攻撃を加えるのだった。

実行

夏休み中であったため、久々に顔を合わせたザウラーズは、電気王の攻撃を食い止めるため、ザウラージェットで戦場に到着すると、ゴウザウラーがデスボルトに、マグナザウラーがドグマホークに、それぞれ立ち向かっていく。だが、データバンクシステムでゴウザウラーの行動パターンを読む電気王は、データ通りの攻撃を行うゴウザウラーを、追加武装も使って軽くあしらって見せる。
そんなゴウザウラーの動きが、電気王に読まれていることを悟った金太は、自分がマグナザウラーでデスボルトとドグマホークの2体を相手に戦うことを決意。電気王は自分達が甘く見られたと憤慨するが、金太が操縦するマグナザウラーの動きは、前回までの戦闘時と比べて見違えるほど良くなっており、電気王は思わぬ苦戦を強いられてしまう。
だがしかし、あくまでもゴウザウラーこそが狙いの電気王は、行動パターン100…ゴウザウラーが空中に逃避した瞬間を狙って撃滅する戦法を選ぶと、ドグマホークの照準を、ゴウザウラーの到達予測ポイントに固定させ、自らはゴウザウラーが空中に逃避するように、その足元に攻撃を仕掛ける。ところが、ゴウザウラーが計算通りに飛び上がることはなかったため、ドグマホークのミサイルは、全て的外れとなってしまう。
実はこの時、ゴウザウラー内部では、ザウラーズメンバーが夏休み中の話題で盛り上がっており、それがこれまでの戦闘で見せたことのない動きへと繋がっていたのだ。そんなザウラーズの内情など、知る由もない電気王は、なおもデータ通りの攻撃を続行するが、ザウラーボンバー発射のタイミングにもズレが生じたため、回避できる筈の地点でザウラーボンバーの直撃を食らってしまう。たかが人間の行動パターンなど、簡単に計算できる筈と信じる電気王は、自分の知らない101番目の行動パターンの存在に疑心が募り驚愕する。
戦いの果て、ザウラービッグバスターで作戦補助の機械化獣ドグマホークを倒された電気王は、データバンクシステムを破壊すると、勝つために必要なのはやはり力であり、知恵などは不要と、自分の信念の正しさを、改めて確信するのだった。

分析

失敗続きの電気王に助言を送るという機械神の行動は間違ってはいない。だが、その助言の内容に間違いがあったように思える。電気王は、正々堂々とした力押しによる戦い方に拘りを持っており、策略を使うことを異常なまでに嫌うが、もしこれが、電気王自身の歴史の浅さに依拠するものなら、力押しの戦闘方法を改めよという方が無理というものだ。前戦で破壊されたデスボルトの右腕に追加装備が施されている辺り、機械神も電気王に更なる力を一応与えてはいるが、もっと根本的な部分から強力な力を与えた上で、ゴウザウラーを倒すように命じていたならば、戦闘に赴く電気王の気持ちも、また違ったのではないだろうか。「結果が全て」と言った機械神のやり方次第で「結果」を変えられた可能性は、十分にあった筈だ。
また電気王が、過去の戦闘データからゴウザウラーの行動パターンを解析したことは、決して無駄な行為ではない。相手の戦法を熟知しておくことは、むしろ重要なことだと言える。ようは、そのデータを土台に、臨機応変に戦うことができればよかったのだ。バカ正直に、データそのままの攻撃を加えたことに、電気王が敗れた一因があったことは疑うべくもないが、そもそも今回は、電気王が、自分の取りたくもない戦法を機械神に押し付けられ、それに疑問を抱いたまま渋々データに頼った戦闘を行っていた訳だ。 不慣れな戦法を、嫌々実行した電気王が、自分の持ち味を全く発揮できなかった以上、今回導き出された惨敗という結果は、ある意味で至極当然なものであった。
しかしながら「男子三日会わざれば刮目して見よ」の言葉通り、ほんの僅かな期間に見違えるほど成長を遂げていたザウラーズに、過去のデータはもはや意味をなさなくなっていたとも言える。特に金太は夏休み中も柔道の訓練を欠かず行っていたこともあって、パイロットを務めるマグナザウラーの動きは格段に向上していた。
また、過ぎ行く夏の様子に、一抹の寂しさを覚えていたザウラーズの面々は、精神的にも成長を遂げつつあったようだ。それとは逆に、同じようなパターンの敗戦を繰り返しながら、反省のない電気王に成長の跡を見ることは、残念ながらできない。これでは、ザウラーズと電気王の差は開くばかりであり、ザウラーズが電気王の手に負えなくなるのは、時間の問題であったと言わざるを得ないだろう。

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