第24話「温泉旅行は大混乱!」


概要

前回、「策略を使え」との助言を送ったにもかかわらず、ゴウザウラーに敗北した電気王に、機械神は失望を禁じ得なかった。いま一度のチャンスを望む電気王の姿に、命乞いを感じ、所詮電気王も歯車王と同じと評する機械神だったが、電気王は命が惜しいのではなく、ゴウザウラーに勝つことができないまま処刑されるのが、耐えがたき屈辱であるという。
果たして、自分のプライドに賭けて、必ずゴウザウラーを倒してみせるという電気王に、機械神は出撃を許可する。
こうして、電気王の戦士としてのプライドを賭けた戦いの幕が上がるのだった。

実行

絶対の勝利を期して、最強の機械化獣になり得る兵器を探す電気王は、偶然にも飛行中のザウラージェットを発見する。ザウラーズは、小学生生活最後の夏休みの思い出作りとして、中島先生らの引率のもと、青空温泉郷まで温泉旅行へとやってきていたのだ。ザウラージェットを追った電気王は、ザウラーズ一行の宿泊先である青空温泉郷の温泉宿・中島屋が、ザウラーズの基地だと誤認すると、ゴウザウラーへの挑戦を図るべく、なおも機械化獣の素材探しに奔走する。その甲斐あって、戦艦を発見した電気王は、それを戦闘機械化獣バトルジークへと変貌させると、更にデスボルトをも呼び出し、万全の体制で、ゴウザウラーの基地があると信じる青空温泉郷へと向かうのだった。
やがて、青空温泉郷に到着した電気王は、ゴウザウラーのコアロボを発見するなり機械化獣による砲撃を加え、一体だけ先走ったサンダーブラキオにも電撃を浴びせかけて先制する。そして電気王は、更なる追撃をかけようとするが、その前にマグナティラノが救援に出現。マグナザウラーに熱血進化すると、デスボルトとの剣戟を展開してゆく。この間に、ザウラーズは全員が各ザウラーメカへの搭乗を果たし、3体のコアロボが揃い踏みもするのだが、エリーの合体指令を無視する形で、しのぶがサンダーブラキオで単独、機械化獣に攻撃を加える。実は、今回の戦いが始まる直前に、しのぶがマッハプテラのパイロット・拳一と喧嘩をしていたという、ザウラーズ側の内情があった。それ故に、しのぶは合体を拒否したのだが、このザウラーズのチームワークの乱れを突く形で、バトルジークはマッハプテラとサンダーブラキオの2体を、自らの体内に幽閉、3体のコアロボを分断して、ゴウザウラーへの合体を不可能にすることに成功する。
バトルジークの体内では、無数の触手がマッハプテラとサンダーブラキオに襲いかかり、その外部では、残ったランドステゴとマグナザウラーに対して、デスボルトが優位に戦いを運んでいた。機械化獣の体内で苦戦するマッハプテラとサンダーブラキオであったが、しかし拳一としのぶは喧嘩をしていても、お互いがお互いを思いやっており、戦いの中で2人は友情を回復。咄嗟の判断で、しのぶがサンダーキャノンの砲座につく好プレーもあり、マッハプテラとサンダーブラキオは、機械化獣の体外へと飛び出すことに成功を収める。
ちょうどその時、マグナザウラーとランドステゴにとどめの一撃を加える直前だったデスボルトは、機械化獣の体内から脱出を果たしたマッハプテラとサンダーブラキオにそれを妨害されると、更に機械化獣の触手を逆用されて、デスボルトは身動きがとれない状態となってしまう。この隙に、敵はゴウザウラーへと合体。ザウラーキャノン、マグナショット、ザウラーボンバーといった技が次々に繰り出されたため、バトルジークは一斉砲撃で反撃するものの、そのことごとくを回避された挙句、逆にザウラーブレードでボディを両断されるという大ダメージを受けてしまう。その直後、発動したザウラービッグバスターによって、バトルジークは爆散し、その触手に束縛されたままだったデスボルトも、機械化獣の大爆発に巻き込まれて、電気王もろとも、修復不可能な損傷を被る。
こうして、自らのプライドを賭けた戦いに敗北した電気王は、ゴウザウラーに正真正銘、最後の戦いを挑むことを決意するのだった。

分析

電気王は、「力こそ全て」を信条とする一方で、戦士としてのプライドの高さから、ゴウザウラーとの戦いにおいては、正攻法かつ力押しの勝負を、これまで好んで行ってきた。このやり方で勝てれば良いのだが、逆に負けが重なると「毎回同じような負け方を繰り返している」という風にしか受け取られず、その点を機械神に責められる形となったのが、前回の戦闘であった。しかし、自分の納得のいかない頭脳戦を強要されての惨敗が、電気王にとって不本意だったことは、その態度からもハッキリと窺い知れた。
その反動もあったのだろうが、今回、電気王は、自分の戦士としてのプライドを賭けて、いつにも増して「力」を強調した戦い方でザウラーズに挑んでいる。特に、電気王が戦艦を素材として造った、超巨大機械化獣バトルジークなどは、電気王の信じる「力」とその気持ちを具現化させた、象徴的な兵器だったと言えよう。
そして本来、電気王としては、正々堂々とした力押しの戦い方で、ゴウザウラーを倒したかったのだが、戦士としてのプライドは、勝つことによってのみ保たれるのも、また事実である。そのためか電気王は、今回、明らかにひとつだけこだわりを捨てている。それは「ゴウザウラー形態のゴウザウラーを倒す」というこだわりである。電気王は、マッハプテラとサンダーブラキオを機械化獣の体内に隔離して、ゴウザウラーに合体できない状態を作り出してから、マグナザウラーとランドステゴに攻撃を加えている。全ては、自らの信条とプライドを賭けて戦いに臨んだ故だが、それでも電気王に捨てられるこだわりはこれだけで、策略を使わない力押しの真っ向勝負をするというこだわりだけは、ついに捨てることができなかったようだ。
今回の戦闘に関して言えば、電気王の戦い方それ自体に問題はなく、むしろひとつだけでもこだわりを捨てた分、勝利を得る寸前まで行っていたことは評価できる。電気王にとって誤算だったのは、機械化獣に任せたマッハプテラとサンダーブラキオが、その体内から無事に生還してきたことに尽きるだろう。バトルジークは、電気王が自身のプライドを賭けて造った、言わば「力」の象徴であった。それがマッハプテラとサンダーブラキオを倒せなかったばかりか、その打倒を目的としていた触手を、デスボルトの動きを封じるために逆用されてしまった。そして、電気王が戦いの果てに得たのは、修復不可能なほどのダメージを負った、自分自身とデスボルトの姿だったのである。
この結果は、デスボルトがバトルジークの触手から脱出できなかったが故の悲劇であるが、裏を返せば、バトルジークが、それだけ強力な兵器だったということの証明でもある。バトルジークが強力な兵器であったがために、それが「諸刃の剣」となって、電気王の首を絞めることになってしまったのは、誠に遺憾であったが、よくよく考えれば、電気王が今回被った痛手は、その初陣でハイパーエナジーミサイルを使用した時と、全く同じ性格の痛手なのだ。今回の敗戦は、これまでザウラーズとの戦闘を数多く経験してきた電気王が、その中から何も学習しておらず、故に全く成長もしていないことが、改めて浮き彫りになってしまった敗戦でもあった。
最後に。マッハプテラとサンダーブラキオが機械化獣の体内から脱出できたのは、各パイロットの拳一としのぶが知恵を絞り、協力し合って、少ない戦力を最大限に有効活用できたからに他ならない。電気王が前回の敗戦時に「戦いに勝つために不要」と判断した知恵によって、今回の痛すぎる敗北を喫してしまったのは、皮肉な話である。

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