第25話「凶悪!超デスボルト」


概要

前回の青空温泉郷における戦いで、修復不能なほどのダメージを受けてしまった電気王とデスボルト。
月の機械化城に帰れば、自分を待っているのは処刑のみと理解していた電気王は、力こそ全てという信念を貫き通すため、ゴウザウラーに最後の戦いを挑む決意を固める。
そこで電気王は自分の求める「力」を手に入れるため、デスボルトと一体化、宇宙最強の戦士・ハイパーデスボルトとなって、打倒ゴウザウラーに向けた行動を開始するのだった。

実行

ハイパーデスボルトと化した電気王は、巨大なUFOの姿で世界中を飛行、各国都市部の電気を根こそぎ奪い取って、自らのエネルギーとする行為を繰り返していた。
その頃、ザウラーズは、防衛隊との共同開発で、トリケラトプス型のロボット・ボウエイガーを建造していた。ボウエイガーは主に教授と秀三の協力を得て製作が進められたため、動力源にはこの2人が研究開発した永久機関が採用されるなど、まさしく防衛隊とザウラーズの合作と呼ぶに相応しい機体であった。
そのボウエイガーの建造が進む一方、世界中の都市から大量の電気を奪う巨大UFOの存在はニュースとなり、それを聞いた防衛隊の武田長官は、機械化帝国の仕業ではないかと訝しく思う。そんな不穏な情報がもたらされる中、永久機関の作動によって、ついにボウエイガーは完成を見た。
ところが、武田長官とザウラーズとの間に、ボウエイガーの所有権を巡って意見の対立が生まれ、防衛隊側は武田長官が、ザウラーズ側は教授の分析の結果、パイロットに最適と見込まれた洋二が代表者となり、ボウエイガーを賭けた勝負をすることとなった。果たして、ボウエイガーの運転技術で雌雄を決した勝負は防衛隊に軍配が上がり、ボウエイガーを防衛隊にとられた悔しさから発せられた、仲間の非難の言葉を耳にした洋二は、失意の中、帰宅する。
その火山家では、成績の落ちた洋二を叱る母親の姿があった。ザウラーズなんてやめてしまえと言う母に、ボウエイガーのパイロット失格の烙印を押されていた洋二は、ザウラーブレスを母に取り上げられても、素直に承諾してしまうのだった。
こうした状況下、春風町上空に世界中で電気を奪っていたUFOが飛来したため、それを迎え撃つべく出撃する、洋二抜きのザウラーズと、武田長官操縦によるボウエイガー。準備万端でザウラーズの出現を待ちかねていた電気王は、ザウラーロボの前にハイパーデスボルトの姿を露にすると、電気王はゴウザウラーを倒すため、宇宙最強の戦士・ハイパーデスボルトに生まれ変わったことを告げる。
電気王とデスボルトが合体したハイパーデスボルトの力は強大であった。ゴウザウラーのコアロボやマグナザウラーの攻撃などものともせず、電撃だけで各ロボットを圧倒できた事実に、電気王自身も想像以上の力だと満足する。ボウエイガーの助けを借りて、なんとか熱血合体と熱血進化を果たしたゴウザウラーとマグナザウラーだったが、ハイパーデスボルトはザウラーマグマフィニッシュを受け止めるなど、ゴウザウラーとマグナザウラーを圧倒。マグナバスターもハイパーブレスターで相殺すると、電撃のこもったパンチ一発で、ゴウザウラーとマグナザウラーを大地に叩き伏せるほどの威力を見せる。
自分自身の新たな力に感動を覚える電気王は、永久機関が停止してしまったボウエイガーに着目すると、戦いを盛り上げるためにそれを機械化獣へと変貌させる。自らの戦局を、より優位にした電気王は、更に勢いを増した攻撃をザウラーズに加えるべく、哄笑しながらボルトソードを引き抜くのだった。

分析

電気王は「力こそ全て」を信条とし、「戦いは力と力のぶつかり合い」だという戦闘哲学を持っている。しかしながら、電気王としての姿や、指揮官の地位を捨ててまでも「力」に対するこだわりを見せ、自分の信じる「力」によるゴウザウラーへの勝利だけを追い求めた姿は異常とも言える。武人的な性格の電気王ではあるが、果たして、その生まれ持った性格だけで、全てをかなぐり捨てて、ここまで自分の信じる「力」に傾倒できるものだろうか。
最も大きな理由として考えられるのは、やはり電気王が誕生したばかりの機械王だという点である。電気王の信じる「力」というのは、最も分かりやすい強さの象徴であり、戦いの場が弱肉強食である以上、最も強さを感じることができるのが「力」であると言っても、決して間違いではないだろう。電気王は、誕生してまだ間がなく、良くも悪くも純粋であるが故に、シンプルな強さである「力」に強く惹かれたのではないだろうか。
また、成長をするためには、失敗を反省し、そこから学習しなければならない。しかし電気王は、敗戦という失敗を反省せず、何も学んではいない。故に成長もしておらず、「力」以外の強さには見向きもしていないのだ。「知恵」も「力」と同じく強さであることに変わりはないのだが、成長をすることがなかった電気王が、「力」以外の強さに興味を示さなかったのは、ある意味、当然だったのかもしれない。
それにしても、指揮官の地位をはじめとした自らの全てを、信念による勝利のために捨て去った電気王の行動は、天晴れの一語に尽きる。 自らの保身を一切考えない行動など、普通はなかなかとれないものだが、自分が信じた「力」に強く執着した電気王だからこそ、成し得た業だったのだろう。

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