第26話「甦れ!グランザウラー」


概要

電気王としての姿も、機械化帝国指揮官の地位も捨てて、宇宙最強の戦士・ハイパーデスボルトと化した電気王の力は、ゴウザウラーやマグナザウラーを圧倒するほど強いものであった。
優勢な戦闘を展開する電気王は、防衛隊の建造したロボット・ボウエイガーをも機械化獣に変貌させると、更に戦いを楽しもうとするのだった。

実行

ハイパーデスボルトと化した電気王は、ゴウザウラーとマグナザウラーを圧倒し、力こそが全てを制するのだと、自分の考えが正しかったことを確信、力だけでは勝てないと自分の信念を否定した機械神に対して、造反の意思を見せる。
電気王と機械化獣ボウエイガーの攻撃によって追い詰められていく、ゴウザウラーとマグナザウラー。ザウラーズのピンチをテレビ中継で目の当たりにしていた洋二は、ザウラーブレスの呼び出し音に反応し、それを手に取る。ザウラーズのことを批判する洋二の母は、ザウラーブレスを渡すように言うが、ザウラーズと電気王の戦いを、テレビ越しに見ていた洋二は、ザウラーブレスの呼び出し音が止まった瞬間、自分がザウラーズの一員であることを改めて自覚。仲間を見殺しにはできないと、自らの意思で母の制止をり切り、家を飛び出してザウラーズの元へと向かうのだった。
電気王が戦いを楽しむ中、現場に到着した洋二は、ザウラーブレスを通じて、教授のボウエイガー奪還のアイディアを知る。機械化獣と化してしまったボウエイガーを戦力とし、3対1でハイパーデスボルトに立ち向かおうというのだ。覚悟を決めた洋二は、自分がボウエイガー奪還の役目を負うことを皆に伝えると、ゴウザウラーの協力のもと、必死の思いでボウエイガーのコクピットにたどり着くことに成功、なんとかボウエイガーを動かし、ハイパーデスボルトにミサイル攻撃を見舞う。しかし、操縦に不慣れな洋二の動かすボウエイガーの動きは鈍く、ハイパーデスボルトの電撃の前に洋二が気絶して動かなくなってしまうと、ボルトソードで地割れへと叩き落とされてしまう。
やがて、不思議な空間で気がついた洋二は、ステゴサウルスの化石を目撃。その後も、ティラノサウルス、ブラキオサウルス、プテラノドンの化石が迫っては洋二の横をすり抜けていく。そして、洋二の涙に誘われるかのようにエルドランが現れ、ボウエイガーに新たな生命を授けるという。機械化帝国に勝てるかどうかは、ザウラーズ次第だともいうエルドランが、ボウエイガーにトリケラトプスの魂を与えると同時に、洋二とボウエイガーは光に包まれるのだった。
一方、ゴウザウラーとマグナザウラーに優勢の電気王は、自分は誰よりも強く、その力は宇宙最強であると信じるまでになっていた。戦いが楽しかったと言い切った電気王が、とどめのボルトソードを振り下ろさんとしたその瞬間、春風小学校の地下から、ボウエイガーが新生したグラントプスが出現。そのコクピットには、操縦者の洋二の姿もあった。
新たなロボットが登場したことで、更に戦いを楽しもうとする電気王は、グラントプスの攻撃を楽しみにするが、操縦に不慣れで自信の持てない洋二はミスを繰り返し、まともな攻撃をすることができない。一度は最後まで戦うと言いながら、上手く操縦することができない現実を知り、簡単に弱音を吐いてしまう洋二。そんな頼りない洋二に対し、拳一が一喝すると、他のザウラーズメンバーも、洋二の上手くできない分は自分たちがカバーすると、口々に洋二を励ます。
そして、戦いを面白くできない存在と判断し、グラントプスを破壊せんとしていた電気王は、仲間の声に励まされながら操縦する洋二のグラントプスの攻撃を受けて大地に倒れる。グラントプスの戦闘力が、急激に上がったことに驚愕する電気王は、変形したグランザウラーに攻撃を加えるが、グランザウラーはその攻撃を受け止めると逆に押し返し、グランショットを見舞う。
これを契機にして、ザウラーズは反撃を開始。シールドビームとマグナショットの複合攻撃が、ハイパーブレスターの発射口を潰し、その後のトリプルボンバー、ザウラーマグマフィニッシュ、マグナバスターの連続攻撃で、ハイパーデスボルトは満身創痍となってしまう。
力の強い者が全てを制すると信じて、自分が負けるはずはないと言う電気王は、グランザウラー必殺のザウラーグランドスラッシュに両断され、人間が、自分が信じた「力」より強いものを持っていることを感じながら爆散する。
こうして、ザウラーズ側にグランザウラーという新戦力が加わり、そのパイロットである洋二の成長をも促すという、機械化帝国にとっては厄介な事態を残して、電気王はこの世から消えていったのだった。

分析

力だけを信じ、力にこだわり、力にのみ価値を見出していた電気王。そうした力への傾倒の理由は、電気王の純粋さ故であると、当データは分析している。純粋な電気王は「力こそが全て」であると、本気で信じていたのだ。だからこそ、自分の信じた力を否定した機械神にも、最終的には造反したのだが、結局のところ、電気王がこの世に誕生してから、本当に信じることができたのは、自分の力だけであった。そして、ゴウザウラーは、そんな自分の力を示すための、格好の対戦相手にすぎなかったのかもしれない。だとすれば、機械神の野望も、機械化帝国の目的も、電気王にとっては途中から、あるいは最初から、そんなに重要ではなかったのだろうし、電気王が地球の機械化にそれほど興味を示さなかったことにも合点がいく。だが、そう考えると電気王は、やはり"太陽系機械化計画"の指揮官としては失格だったと言わざるを得ないだろう。
改めて電気王が決戦に至るまでの過程を辿ってみると、純粋に力を信じていた電気王が、それを機械神に否定されて、自分の力に対する純粋な思いを踏みにじられた結果、造反を決意するに至ったのだ。考えようによっては、これらは全て、純粋な電気王が全く成長をしなかったがために起こってしまった悲劇であったと言える。
そして、全く成長することのなかった電気王には、「成長する」ということそのものが、理解不能な事象だったのかもしれない。ボウエイガーのパイロットに選ばれた洋二は、勉強もスポーツもできる割に、ロボットの操縦の腕前は、さほどでもなかった。恐らく洋二は、そのメンタル的な部分から、自分が自信のあることには実力を発揮できるが、そうでないことには実力を発揮しにくいタイプの人間なのだろう。洋二が自立心の強い人間であれば、新しい物事にも積極的にチャレンジしていけたのかもしれない。しかし、いちいち先生にお伺いを立てていたことからも、洋二が自立心の強い人間ではなかったことが窺える。洋二が恵まれていたのは、ロボットの操縦に不慣れな自分を励ましてくれる仲間が側にいたことで、実際に洋二は、仲間に支えてもらいながら、実戦の中でパイロットとして、徐々にではあるが成長を見せた。ハイパーデスボルトに攻撃が当たるたび、ハイパーデスボルトがダメージを受けるたび、その一撃一撃を糧として、洋二は電気王の目の前で、みるみるうちに強くなっていったのである。自分が今現在持っている力しか信じられず、成長することを知らなかった電気王にとって、洋二の操縦するグランザウラーが、急激に強くなったことは、不思議以外の何物でもなく、その理由は永遠に分からなかったに違いない。
電気王は最期の瞬間、人間が、自分の信じる「力」よりも強いものを持っていることを感じながら散っていった。それは人間の心が生み出す「力」であり、電気王の信じた「力」とは、異質の強さであった。しかしながら、たとえ異質のものであったとしても、「力」にこだわった電気王が、真っ向勝負の果て、自分以上の「力」に敗北したのだ。それは、「力」に準じた電気王にとって、せめてもの救いだったのではないだろうか。

次の話へ

前の話へ

サブタイトル一覧へ戻る

「機械化帝国データバンク」トップへ戻る