第27話「新たなる敵エンジン王」


概要

電気王の敗北を受けた機械神は、これまでに数多くの惑星を機械化してきた実績のあるエンジン王を、"太陽系機械化計画"の新たな指揮官として招聘した。
エンジン王は手始めに、裏面だけしか機械化されていなかった月を、一瞬にして完全に機械化する。直後に、月の機械化城に灯っていた電球や蛍光灯は全て消え失せて、代わりに巨大なエンジンが出現、機械化城の主が、電気王からエンジン王に交代したことを告げる。そして月面に、愛機ギルターボと共に現れたエンジン王は、眼下に見える地球を「つまらない星」と評すると、その早急なる機械化のため、ギルターボに機械卵を射出させるのだった。
一方、地球では、小学6年生の二学期を迎えたザウラーズの各人が、勉強やスポーツに忙しくなっており、そのメンバーである拳一は、仲間とのすれ違いに苛立ちを覚えていた。そんな拳一は、自分たちが幼い頃に造った「少年地球防衛チーム」の秘密基地へと向かい、その思い出に浸っていた折に、「Jr.ザウラーズ」と名乗るトオル、サトシ、ノブオの3人組に出会う。
拳一は、自分が本物のザウラーズであると知ったサトシとノブオから、Jr.ザウラーズの隊長に祭り上げられると、面白半分でそれを承諾。しかし拳一は、Jr.ザウラーズと行動を共にするうちに、秘密基地近くの思い出の池が、機械化されている事実を知って愕然となる。拳一は、思い出の地を元に戻すべく、マッハプテラを出動させようとするが、ちょうどこの時、地球上にギルターボの射出した機械卵が落下。機械化獣オードロンに変貌すると、秘密基地近辺で破壊活動を開始した。
果たして、怒りに燃える拳一の操縦するマッハプテラと、エンジン王の放った機械化獣オードロンは戦闘に突入。こうして、エンジン王対ザウラーズの戦いの幕が上がるのだった。

実行

マッハプテラと機械化獣オードロンの戦闘は、流石にオードロンが優位に戦いを運ぶが、そこに機械化獣出現を受けて発進してきたグランジェットが飛来、グランザウラーへと変形して、オードロンに攻撃を加えようとする。だが、次の瞬間、エンジン王の操縦するギルターボが出現。グランザウラーに速攻を仕掛け、そのまま優勢に持ち込むが、戦場に急行してきたサンダーブラキオ、ランドステゴ、マグナザウラーの攻撃を受けてしまうと、この隙にコアロボはゴウザウラーに合体を完了させる。
機械神以上の存在となる野心を秘め、強い対戦相手を求めているエンジン王は、ゴウザウラー、マグナザウラー、グランザウラーと、地球に同じようなロボットが3体もいたことに興味を覚えたため、地球の機械化はオードロンに任せて、自らはギルターボでザウラーロボと戦うことを選択する。ところが、オードロンが機械化のために放った種子の1つが、秘密基地の方向に飛んだため、基地とJr.ザウラーズのことが気がかりな拳一は、ギルターボとの戦闘に集中できないでいた。拳一は、皆に心の内を打ち明け、仲間の理解を得ると、ゴウザウラーで秘密基地へと向かい、その後をギルターボが追う。残った機械化獣オードロンは、マグナザウラーとグランザウラーの2体を相手に、戦闘を繰り広げてゆく。
果たして、種子の攻撃からJr.ザウラーズを救った拳一は、一転して戦闘に集中、後を追ってきたギルターボと真っ向から渡り合う。一方、オードロンはマグナザウラーとグランザウラーの2体の前には敵わず、ザウラーグランドスラッシュに両断されて爆発四散。機械化獣を倒したマグナザウラーとグランザウラーは、ゴウザウラーと合流すべく、秘密基地の方向へと飛行して来る。形勢不利となったエンジン王は、あのロボットたちこそ、自分たちの探し求めていた存在かもしれないと感じると、余力を残しながら引き上げていくのだった。

分析

歯車王でも、それ以上の力を与えた電気王でも倒せなかった、ゴウザウラーのいる地球。その攻略を任せられたのは、力と実績を兼ね備えたエンジン王であった。機械神にとって厄介なのは、エンジン王が、いずれは自分が機械神以上の存在となり、宇宙の支配者になるという野心を抱いていることであるが、それを機械神が見抜けなかった訳ではない。しかしエンジン王は、ギルターボとの絆に見られるように、歯車王よりも二人三脚が上手くいっており、また、その胸に秘めた野心故に、電気王と違って成長を続けてきたのだ。言わばエンジン王は、2人の前任者の欠点を見事に補った実力者なのである。そのことを考えれば、機械神の人選は、非常に適切だったということができるだろう。
そのエンジン王は、機械神以上の存在となるために、力のある対戦相手を求め続けていた。力のある対戦相手を見付け次第、そのデータを収集し、自身の力に変えることを繰り返せば、自分が宇宙最強の存在へと変貌してゆくからだ。エンジン王が、最初は地球を「つまらない星」と評しながら、その評価を改めることになったのは、ゴウザウラーという力のある対戦相手を発見したからに他ならない。思うに、機械神がエンジン王の地球派遣を渋っていたのは、エンジン王の野心を考えたとき、ゴウザウラーに興味を抱くのは必然と、先の展開が読めていたからなのだろう。
しかしながら、強い対戦相手のデータを収集して自分の力とし、機械神以上の存在になろうとする、この向上心こそが、エンジン王が数々の惑星を機械化してきた実績の根幹だったとは言えないだろうか。つまらないと判断した惑星は即座に機械化し、興味深い対戦相手の存在する惑星は、相手のデータを収集し終えた後に機械化する。これを繰り返し、エンジン王は力を蓄えつつ、実績を伸ばしてきたに違いない。それは言い換えれば、エンジン王が機械でありながら、より強大な存在となるべく、成長を遂げてきたということなのである。
ザウラーズの子供たちも、これまでの戦いの中で成長してきたし、人間である以上、嫌でも成長し、また成長しなければならない。そのザウラーズが操縦するゴウザウラーを倒すため、機械神が切り札的に送り込んだエンジン王もまた、成長を望み、成長してきた訳だ。
機械化帝国の中でも、屈指の実力者であるエンジン王。その力が、向上心による成長の賜物という点からは、機械人と人間が大差ない存在であることを窺うことができる。更に言えば、心を持つ人間を忌み嫌う機械神が、成長する人間のザウラーズを倒すために、人間の如く成長を続けてきた機械人のエンジン王を差し向けた点からは、ある種の皮肉を感じられて面白い。

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