第29話「超熱血キングゴウザウラー!」


概要

エンジン王が繰り出してきた合体機械化獣への対抗策として、ザウラーズの教授はゴウザウラー・マグナザウラー・グランザウラーの3体が超熱血合体して完成する、キングゴウザウラーを考案し、その合体プログラムを組み上げる。 そして、春風小学校の校庭にて、キングゴウザウラーへの合体お披露目が行われるが、そのお披露目は、合体失敗という結果に終わってしまった。全校生徒の前で恥をかかされたと他のザウラーズメンバーに責任を問われ、更に愛用のパソコンを事故同然の形ながらも拳一に壊された教授は、責任を取ってザウラーズを辞めると宣言し、不良と化してしまうのだった。
一方、月の機械化城では、エンジン王が機械神に、自分がゴウザウラーに興味を持ったということと、打倒ゴウザウラーを必ず成し遂げて見せる旨を伝えていた。その実、ゴウザウラーと戦い、それを倒すことで、機械神を凌駕する最強の力を得んとするエンジン王は、ギルターボと共に地球へと向かい、機械卵から機械化獣ミッドダロスを誕生させるとすぐさま巨大結合、合体機械化獣の力で春風町を攻撃し、ゴウザウラーの誘き出しを図るのだった。

実行

合体機械化獣出現の報せに、マグナザウラーとグランザウラーが機械化獣の相手をし、その間に合体プログラムを完成させる決意をする教授抜きのザウラーズ。洋二が担っていたデータの打ち込みは中島、弥生両先生が手伝うこととなり、マグナザウラーとグランザウラーは合体機械化獣の足止めをするべく発進する。そして、不良化した教授の説得をエリー、ワン、ツーが行い、拳一は秀三を連れて、秀三の父にパソコンの修理を頼むなど、ザウラーズの各人は、自分にできるだけのことを一生懸命に取り組んでいった。
しかし、専門外の作業のため、学校に残ったザウラーズの面々は、合体プログラム作成に四苦八苦。合体機械化獣と化したミッドダロスと戦闘を開始したマグナティラノとグラントプスも、圧倒的な戦力差の前に、劣勢を余儀なくされてしまう。
その頃、苦労するザウラーズの面々や、苦戦するマグナティラノ&グラントプスの姿を目の当たりにした教授は、秀三の家へと向かっていた。そこで、秀三はもちろん、拳一とも鉢合わせる教授。突っ張る教授は、拳一や秀三の言葉にも耳を貸さないが、秀三の父の手により、車輪やバックミラーが追加され、カスタム、修復されたパソコンに心動かされて、ザウラーズへと復帰する。
果たして、改めて合体プログラム作成に取りかかる教授と共に、戦場へと向かったザウラーズは、ミッドダロスにとどめを刺される寸前の、マグナティラノとグラントプスを救出。このミッドダロスに隙が出来た瞬間に、マグナティラノとグラントプスは、それぞれマグナザウラーとグランザウラーに変形する。
戦いが本格化する中、トリプルボンバーにも無傷のミッドダロスは、グランザウラーとマグナザウラーを捕らえると、残るゴウザウラーをも苦戦させるが、その時、遂に教授が合体プログラムを完成させる。
ザウラーズ全員がザウラーブレスのボタンを押した瞬間、赤い閃光がザウラーブレスから放たれ、ミッドダロスに捕まっていたグランザウラーとマグナザウラーも、合体スタンバイ状態に入る形で脱出に成功。 そして、合体ボタンを押したことで、超熱血合体が始まり、ここに誕生するキングゴウザウラー。
3体のザウラーロボが合体したことに喜びを覚えるエンジン王は、ミッドダロスで攻撃を繰り出すが、それはキングゴウザウラーには通じず、逆にキングスパルタンでダメージを与えられると、ザウラーキングフィニッシュでミッドダロスを破壊されてしまう。
だが、戦いに敗れたエンジン王は、ゴウザウラーが自分たちの期待通りどころか、それ以上の存在であることを感じると、哄笑しながら引き上げていくのだった。

分析

ゴウザウラーに興味を持ったということと、ゴウザウラーは自分が必ず倒して見せるということ。謁見の場で、エンジン王が機械神に言ったこれらの言葉は、全てエンジン王の本音であり、嘘ではない。 エンジン王が最強の力を手に入れるためには、ゴウザウラーという対戦相手が必要であるし、その力を手に入れる過程で、ゴウザウラーの打倒は果たされるからだ。
そのエンジン王としては、ゴウザウラー・マグナザウラー・グランザウラーの3体を倒すことによって、最強の力を入手する予定だったのだろう。それだけに、敵がキングゴウザウラーという合体戦法を繰り出してきたことは、エンジン王にとっては想定外の、しかし嬉しい誤算だったに違いない。
そのキングゴウザウラーを生み出したのは、ザウラーズの教授である。
教授はザウラーズの結成後、その知恵袋として、戦闘時の状況判断とそれに応じた戦術の考案、様々な発明品の開発、ザウラーメカの研究分析等、ザウラーズの頭脳労働を一手に担っていた。 しかしながら、教授がそうした頭脳労働に専念し、ザウラーズに対する多くの貢献をすることができた裏には、秀三という理解ある助手の存在があったことを見逃してはならない。
教授と秀三が出会った時期は不明だが、秀三という助手であり、理解者を得られたことが、教授の科学者としての、また発明家としての才能を伸ばす何よりの推進力となったハズで、 教授の類い希なる頭脳は、教授が幼い頃から科学に興味を持ち、秀三という理解者と出会って、その才能を伸ばし続けることができて、初めて得られたものだったと言える。
また、超電磁バリアの開発時、教授と秀三の発明品が、既にクラスメイトからは危険視されていたことから、ザウラーズ結成以前より、2人が一緒になって様々な発明品を造っては、失敗を繰り返してきたであろうことも窺える。 ただ、教授がこれまでの人生の中で数多くの発明を「失敗」してきたからこそ、今回のキングゴウザウラーという「成功」を得ることができたと言える。 人間は失敗から学んで成長し、その過程の中でいくつかの成功を手にすると言え、だからこそ「失敗は成功の元」という教授の口癖は、決して単なる言い訳ではないし、また嘘ではないことが分かる。
更に、科学者としての教授を見た場合、人体実験が趣味と言えども、それは命に別状がない程度の実験であり、 また、ザウラーズ時代に開発したものに限っても、教授の発明品は他人の手助けをする実用品が多いことから、教授が人間と機械を愛する人道に反しない科学者であることが分かる。 そんな機械を愛し、人間を愛する教授だからこそ、人間の手が加えられたパソコンに暖かみを感じたのだろうし、ザウラーズの仲間も放ってはおけず、 更には、キングゴウザウラーの合体プログラムという、科学者にとって「我が子同然」と表現できる研究を、無責任に放り出すことなどできなかったのに違いない。
そして何より、未完成の合体プログラムを完成させることこそ、科学者であり、発明家である教授が、真に責任を取ることになるのは、改めて言うまでもないだろう。
また、発明をする意義は、色々あると思うが、その中には、「他人を幸せにするため」という考え方も、確かに存在しよう。 教授がキングゴウザウラーを「発明」したことで、エンジン王は地球とゴウザウラーに改めて注目し、やがて人間の持つ心に興味を抱くようになり、最終的には機械でありながら、心の素晴らしさを知るまでになった。 そして、その最期を見る限り、エンジン王とギルターボが、不幸な結末を迎えたようには思えない。
ザウラーズにとっての敵であり、機械であるエンジン王とギルターボの心と魂の救済が行われた原因のひとつが、教授の生み出したキングゴウザウラーにあると言っても決して過言ではなく、 例え未熟であったとしても、人外の敵をも幸せにした教授が、立派な科学者であり、発明家であることは、間違いないと断言できる。
ザウラーズと機械化帝国の戦いの行方を大きく左右した教授の存在。もしかすると、教授がこの世に生まれて、科学に興味を持った時点で、機械化帝国の敗北は既に決まっていたのかもしれない。

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