第42話「光と闇のゴウザウラー」


概要

ダークゴウザウラーは、手に携えたダークブレードを、大地に倒れたキングゴウザウラーに向けて振り下ろしたが、それを回避せんとキングゴウザウラーは咄嗟にその身を起こした。 そのため、キングゴウザウラーを両断することはできなかったが、ダークブレードでキングゴウザウラーを刺し貫くことに成功した原子王は、そのまま壁に磔状態にして動きを止めると、キングブレードを拾い上げて、キングゴウザウラーにとどめを刺すべく飛び上がる。 この危局に拳一は、キングゴウザウラーの機体が損傷するのを覚悟で磔状態から脱出すると、ダークゴウザウラーの攻撃を回避して、ダークブレードを取り去ったのだった。
しかし、単純なパワーで勝るダークゴウザウラーが、パンチやキックで更なるダメージを与えていった結果、機能が損傷したキングゴウザウラーは、遂に動かなくなるのだった。
分離することも敵わず、あまつさえエネルギー反応炉が異常加熱しており、このままではキングゴウザウラーが大爆発してしまうという、絶対的な危機を迎え、万事休したザウラーズ。 そして、勝ち誇った原子王が、勝利のダークブレードをキングゴウザウラーの頭部に突き立てんとした正にその時、それまで行方不明になっていたエルドランが突如出現、ダークブレードを押し返して、ザウラーズを救ったのだった。 更に、拳一からキングゴウザウラーが動かない現状を伝えられたエルドランは、残り少ない自分の力を振り絞ってキングゴウザウラーを安全な場所にテレポートさせた。 こうして原子王は、またとない必勝の機会を逃してしまうのだった。
そしてエルドランは、テレポートした先でザウラーズに事の経緯を語った。原子王は機械化帝国が地球に送り込んだ第1の機械王であること、恐竜時代を守るため、原子王と戦っていたエルドランは、あと一歩というところまで追い詰めていたものの、 時空の穴を介して、恐竜時代に流れ着いたギルターボの記録回路から、ゴウザウラーのデータを発見した原子王が、ゴウザウラー以上の性能を持つダークゴウザウラーを造り上げたため、形勢を一気に逆転されてしまったことを。
原子王を倒して、地球の歴史の流れを元に戻すことをザウラーズに託したエルドランは、正真正銘の最後の力でキングゴウザウラーを修復し、その姿を消した。 こうしてザウラーズは、気持ちも新たに原子王に立ち向かってくるのだった。

実行

原子王と戦うための準備をするザウラーズ一同。だが、マーボーが持ち帰った卵から孵化した恐竜=チビ助のために作業が捗らないでいた。 責任を追及されたマーボーは、チビ助を群れに返すため、育代と一緒に仲間の恐竜探しに出発する。やがて、卵を拾った恐竜の巣のあったところまできたマーボーと育代だったが、その辺りは機械化されており、なおかつ現れた機械化獣ボルトロボが、マーボーと育代に襲いかかる。 しかし、ボルトロボは一匹の恐竜によって倒され、その恐竜こそチビ助の母親であった。
恐竜の親子の邂逅を喜ぶマーボーと育代だったが、その瞬間、大きな地揺れが発生する。空を見上げると、隕石が降り注いでおり、その隕石が落下した周辺は、尽く機械化されていくのであった。 これは、地球上のありとあらゆる生命を、一気に全滅させると同時に、逃走して行方が知れなくなったエルドランをも葬らんとする原子王が、機械化隕石誘導装置で造り出した、機械化隕石の所為であった。
この事態に出動したザウラーズは、隕石をコントロールしている強力な電波の発信源を突き止め、機械化隕石誘導装置のあるタワーまで急行してくる。 そこで、これを迎え撃った原子王操縦のダークゴウザウラーは、ゴウザウラーとマグナザウラーを相手に戦闘を開始。 分離状態のダークゴウザウラーを巧みに使い、コントロールタワーを守りながらも優勢に戦いを進める原子王だったが、そこにマーボーと育代を回収したグランジェットが飛来。 斯くして、全てのメンバーが揃ったザウラーズは、ザウラーロボをキングゴウザウラーに超熱血合体させる。 そのため、原子王もダークゴウザウラーをキングゴウザウラー形態へと超鋼鉄合体させ、改めて始まった格闘戦の末に、原子王はキングゴウザウラーを、強力な磁力が発生している壁に、磔状態にすることに成功するのだった。
ザウラーズの悲鳴を聞き、喜色満面の原子王は、しかしそこに集団移動してきた恐竜たちの攻撃を受けて激高、恐竜の群れに襲いかかった原子王は、ダークブレードで群れの中にいたチビ助の母親を斬殺する。 これに怒りと悲しみを覚えたマーボーが操縦室に直行。そして、磔状態から逃れんとするキングゴウザウラーの操縦桿を、力の限り押したマーボーの「火事場の馬鹿力」が、キングゴウザウラーを磔状態から解放させた。
恐竜を次々と切り捨てていたダークゴウザウラーは、思わぬキングゴウザウラーの反撃を受けると、更にコントロールタワーに向かって投げ付けられたため、隕石落下作戦の要であるタワーは倒壊し、爆発炎上してしまう。 が、超巨大隕石が既に大気圏に突入していることを理解していた原子王は、キングゴウザウラーが地球の全生命と共に消滅するところを見物するため、また自らは安全な場所に移動するため、キングゴウザウラーの前から逃走するのだった。
ダークゴウザウラーの打倒と巨大機械化隕石の破壊を天秤にかけたザウラーズは、地球の生命のために隕石を破壊することを優先。飛び去っていくダークゴウザウラーを尻目に、巨大機械化隕石をザウラーキングフィニッシュで粉砕する。と同時に、原子王の企ては水泡に帰してしまうのだった。
なお、今回の戦闘終了後、母親を殺害されたチビ助は、「自分が親代わりになってあげたい」という気持ちを押し殺したマーボーによって、仲間の群れに返されている。

分析

原子王の作戦自体に全く問題は無かった。 エルドランが逃走しており、地球上のどこにいるか分からなかったのだから、地球の生命の絶滅と地球の機械化、そしてエルドランを一気に葬るために、機械化隕石を地球に激突させる作戦は、最も簡単に機械化帝国の目的を果たせるやり方だったからだ。 ただ、この作戦が瓦解した要因は、原子王の判断力とザウラーズの底力にあった。
機械化帝国は、恐竜たちから敵視されており、その活動を妨害される可能性は、いつ、如何なる時でも高かった。 従って、キングゴウザウラーを磔状態にし、勝利を確信した原子王のダークゴウザウラーは、この後、恐竜たちの攻撃を受け、キングゴウザウラーの処刑を邪魔されてしまうのだが、 決戦場所の周辺にボルトロボを多数配置しておき、恐竜たちがやってきても迎撃できるように、それなりの警備態勢を整えておくべきであった。 そうしておけば、恐竜たちの邪魔が入ることもなく、原子王によるキングゴウザウラーの処刑は、滞りなく執行されていたハズである。
また、いくらキングゴウザウラーを磔状態にしたといっても、絶対に破られない拘束状態を作り出すことは難しいのだから、「機を見るに敏」で一気にとどめを刺してしまうべきであった。 チビ助という「火事場の馬鹿力」を出させる存在がいなくとも、キングゴウザウラーが絶対に反撃してこない保証など、全くなかったのだから。
ただ、原子王は、ダークゴウザウラーを得るまで、エルドランに対して劣勢を呈していたため、ダークゴウザウラーを得て、その力関係を一気に逆転させたことから、冷静さを保てなかったのかもしれない。 が、作戦に私情を挟んだが故に敗北してしまっては元も子もない。 機械化隕石が落下してさえいれば、機械化帝国の目的も達成されるばかりか、原子王のエルドランに対する鬱憤も晴らせたハズなのだ。 それだけに、原子王の判断力の狂いが惜しまれてならない作戦ではあった。

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