第45話「恐怖!悪夢の新学期」


概要

地球に送り込んだ全ての機械王を失った機械神は、 既にザウラーズに対して予告していた最終決戦を行うべく、機械化された月の最深部で、最強なるしもべ=歯車大王を創造する。 そして機械神は、歯車大王の力で地球を機械化帝国のものとするように命じ、それを受けた歯車大王は我が身に変えて地球を機械化してみせると宣言するのだった。
一方、6年生の三学期を迎えたザウラーズでは、多少の温度差がありながらも、各メンバーが、小学校生活からの卒業を意識し始めていた。 そんな日の放課後、拳一は、スケートボードに乗りながらの帰宅途中、横道から出てきたしのぶに激突。 軽傷で済んだものの、しのぶは足を痛めてしまい、二人はこの後、公園のブランコで、暫くの間、卒業について語り合っていた。 そんな二人を飛行中の歯車大王が発見、公園の茂みに着陸すると、熱線を放って爆炎を起こし、その中から現れる形で、拳一としのぶの眼前に姿を見せる。 この歯車大王を、「歯車王」と誤認した拳一としのぶは、なおも熱線で襲ってくる歯車大王から逃走。途中、他のザウラーズメンバーにも「歯車王襲来」の連絡を入れながら、夕闇に紛れることで、なんとか逃げ切ることに成功するのだった。
その一方で、拳一としのぶを見失ってしまった歯車大王は地球の機械化に目的を変更。腕から広範囲に機械化光線を発射し、次々と周囲を機械化していくが、この機械化光線がビルの中に隠れていた拳一としのぶの方に偶然発射され、 この時にしのぶを庇った拳一に、機械化光線の外周部分が接触。このため拳一は気を失うが、すぐに覚醒するとザウラーズの到着を確認する。
拳一としのぶが合流するまで、教授がマッハプテラを、秀三がサンダーブラキオを、それぞれ代理操縦する形で勢揃いを果たすザウラーロボ。 そんなザウラーロボに対して、歯車大王はキングギアと同型の戦闘形態に変貌すると、自分が機械神に忠誠を誓う歯車大王であることを明かし、ザウラーズに、これ以上の抵抗は無意味であるため、おとなしく機械化帝国に従うようにと勧告する。 そして歯車大王は、機械神に従い、機械の体となって生き延びるか、あくまでも逆らい、皆殺しにされるかの選択肢を示すが、ザウラーロボが立ち向かってきたことから、「回答」を得た歯車大王は戦闘を決意。
こうして、歯車大王とザウラーズの戦いが始まるのだった。

実行

圧倒的な力でザウラーロボを蹴散らす歯車大王。 その頃、機械化されたビルの中に閉じ込められ、ザウラーブレスで通信することもできない拳一としのぶは、なんとか連絡を取るため、拳一がビルの外へと出て行こうとしていた。 そんな拳一を、マッハプテラ操縦席の教授が発見し救助に向かうが、この行動で拳一を発見した歯車大王は、拳一たちを仕留めるべくミサイルを放とうとする。 この事態にランドステゴとサンダーブラキオが突っ込んでくるが、これを軽くあしらった歯車大王は、目からの熱線をマッハプテラに直撃、更にミサイルを発射して、拳一たちが隠れていたビルを崩壊させる。 だが、既にマッハプテラのパイロットは拳一に交代していた上、ビルに残っていたしのぶも、マッハプテラのコクピットに脱出したため、結局、歯車大王は、拳一としのぶの抹殺に失敗してしまう。
果たして、マグナザウラーとグランザウラーの協力を得て、拳一操縦のマッハプテラが戦場に飛来、ここに全員が揃ったザウラーズは、ザウラーロボを一気にキングゴウザウラーへと超熱血合体させたのだった。 そして拳一は「ゴウザウラーに負けた歯車王」を相手にする発言をするが、これに歯車大王は「自分は歯車王のような出来損ないとは違う別人」という意図の返答をすると、目から熱線を放ってキングゴウザウラーを攻撃する。 しかし熱線を簡単に回避された歯車大王は、キングタイタンとキングスパルタンを立て続けに撃ち込まれると、そのままザウラーキングフィニッシュを決める態勢に突入されてしまい、勝負は決したかに見えた。
が、この瞬間、拳一の体に走る黒い電撃。その結果、拳一は全く動くことができなくなってしまうのだった。 この隙に爆炎の中から立ち上がらんとする歯車大王。だが咄嗟にしのぶがメイン操縦席に座ったことで、ザウラーキングフィニッシュが発動、結局、歯車大王は、キングゴウザウラーの前に大爆発してしまう。
戦闘終了後、拳一の体は動くようになったが、そんなザウラーズの目の前に倒されたハズの歯車大王が姿を見せる。 驚愕するザウラーズに対し、「我々は機械神がいる限り、何度でも甦ることができる」と語った歯車大王は、月から電気大王、エンジン大王、原子大王の三人を呼集して、機械神の力を誇示する。 そして歯車大王は「今日の戦いは挨拶代わりに過ぎない」とだけ言い残すと、他の大王たちと共に、月の基地へと引き上げるのだった。

分析

機械神がザウラーズとの最終決戦用に送り込んだのは、かつての王の強化型である大王たちであった。 その一番手・歯車大王は、ザウラーズが自分のことを「歯車王」と思い込んでいたのにもかかわらず、自分は別人の歯車大王であることを明かし、更に、自分と同じく王と同型の電気大王、エンジン大王、原子大王を、ザウラーズの前に呼集させている。 これらのことから、機械神が、四人の大王たちがかつての王と同型であることを利用した心理戦を、ザウラーズに挑む気が無かったことが分かる。
それでは、機械神が、王と同じ姿形をした大王を造った理由は、一体何だったのだろうか。そこには恐らく、彼らを生み出した惑星の技術力が関係しているものと推測される。
機械神の前身は、遙か昔に、地球から数千億光年の彼方に栄えていた惑星の機械であり、その惑星の支配生物も、地球人類と似たような生物であったと思われる。 それは、機械化帝国の構成員が、人間と似たような姿をしていることや、エンジン王が手にしていたワイングラス等の文化から、窺い知ることができる。 そして、機械神を生んだ文明が、地球とほぼ同じ進化の歴史を辿っていたとすれば、原子力から次のエネルギーが、まだ発明されていなかったのではないだろうか。 機械王は人間が造ったエネルギーの進化の歴史をモチーフとしている。故に機械神は、原子王に続く次なる王を造ることができなかったのだと考えれば、王の強化型たる大王を造ったことにも合点がいく。
もちろん、機械神が、機械王の能力だけは買っていたという可能性も捨てきれない。しかし、一度無能の烙印を押した機械王を機械神が評価しているとは考え難いため、機械化帝国の技術力の限界が大王を造らせたと見るのが妥当ではないだろうか。
また、これは憶測だが、恐らく鋼鉄の秩序を掲げる機械化帝国にあっては、変化や進化を生む発明行為自体が、つまりは0から1を生み出す行為自体が、御法度であったと思われる。 そのことを証明するのが、歯車大王がキングギア、電気大王がハイパーデスボルト、エンジン大王が巨大化エンジン王と同型の戦闘形態を取ったのに対し、原子大王だけは戦闘形態がなかったという事実である。 キングギアは歯車王が、ハイパーデスボルトは電気王が必要に迫られて考え出した決戦形態であるし、エンジン王が巨大化したのも、機械神にギルターボを破壊されて怒るエンジン王が、偶発的に変貌した結果であった。 そしてこれらは、自らの勝利のためだけの、未来に繋がらない決死の「変化」であり、0から1を意図して生み出す類の「発明」ではない。 更に言うならば、こうした王の決戦形態は各王の一代限りの「変化」ではあっても、機械化帝国という組織の未来に貢献するものではないため、機械化帝国の発展に繋がる「発明」にはなり得ないのである。
だからこそ機械神は、各大王の戦闘形態も各王の決戦形態の模倣にとどまったのであろうし、原子大王にのみ戦闘形態がないのは、原子王が教授の発明品たるキングゴウザウラーをコピーして、ダークゴウザウラーを造ったため、決戦形態に変貌することがなかった結果、機械神が原子大王に、戦闘形態を与えることができなかったというのが、真相だったのではないだろうか。
以上が、大王の創造と、その戦闘形態の有無に関する考察だが、もし仮に、この通りだったとすると、常に新しい対抗策を講じ、成長進化と発展を遂げるザウラーズに、機械化帝国が苦戦を強いられるのは、当然だったと言える。
なお今回の歯車大王は、キングゴウザウラーに敗れはしたものの、そのメインパイロット・拳一に機械化光線を偶然浴びせて、徐々に機械人間になっていくきっかけを作っている。 今回の歯車大王の働きが、後の機械化帝国の戦略に、大きな影響を及ぼすことになったことだけは間違いない。

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