第46話「拳一はロボット人間!?」


概要

ザウラーズとの戦いも、最終局面に突入した機械化帝国。前回の歯車大王に続いて、今度は電気大王がザウラーズ打倒に出撃した。 拳一たちの登校時間に、春風町へと飛来した電気大王は、超巨大発動でハイパーデスボルトと同型の戦闘形態へと変貌すると、防衛隊の攻撃を受けながら、ザウラーズの到着の時を待った。
やがて、電気大王の待ち侘びた、ゴウザウラー、マグナティラノ、グラントプスが出現。 そこで、電気大王はゴウザウラーとの戦闘に入るが、電撃攻撃を軽く躱されてしまうと、ザウラーブレードとザウラーキャノンを使った、あまりにも素早い攻撃を受けてしまう。 更に、ザウラーブレードで電気大王に向かってくるゴウザウラー。だが、この戦いを機械神が中断させ、電気大王に基地への帰還を命じるのだった。
戦いを放棄せざるを得なくなった電気大王は、その命令を渋々承諾。ゴウザウラーとの勝負を預けて基地へと帰還すると、電気大王は、何故、帰還命令を出したのか、その理由を機械神に問い質した。 すると機械神は、その回答としてゴウザウラーコクピット内の拳一を映し出し、「ゴウザウラーは間もなく余のしもべとなる」と予言するのであった。
その実、歯車大王の機械化光線を浴びた拳一が機械人間へと変貌していくことを見抜いていた機械神は、拳一とゴウザウラーを機械化帝国へと迎え入れ、それを自分たちの戦力にせんとしていたのだ。
斯くして、機械神の策略が、いま確実に始まろうとしていた。

実行

春風小学校では、機械人間へと変貌しつつある拳一が、その卓抜した能力を、徐々に発揮していた。 体育の時間には、黒帯間近の金太を柔道で投げ飛ばし、跳び箱ではウルトラCの大技を華麗に決めた。 そして休み時間には、洋二の私立中学入試問題を無意識に解いてしまい、更には先生やザウラーズ全員の前で、大学生でも難しい問題をたったの1分で解いてしまうのだった。
こうして、「天才」になった拳一は、放課後、ゲームの達人に挑もうとする。その道程、自動車に轢かれそうになった女の子を庇った拳一は、なんと、その自動車を破壊してしまったのだった。 そして、この時に受けた左肘の傷口から、機械が露になったことに驚愕した拳一は、防衛隊で、身体内部を調べる検査を受ける。その結果、自分の体が、現在進行形で機械化している事実を知った拳一は、ひとり防衛隊基地から飛び出していき、 しのぶの告白から、拳一が、歯車大王の機械化光線を浴びてしまっていたことを知ったザウラーズメンバーは、いなくなった拳一の捜索を始めるのだった。
その頃、防衛隊基地を飛び出した拳一は春風町内を歩いていたが、味覚の消失から、自分が機械人間となっていくことに苛立ち、電柱を一蹴りする。 すると、その電柱は折れてしまい、その現場を目撃した町の人々から化け物呼ばわりされた拳一は、人気の無い建設現場へと逃亡するのだった。
果たしてザウラーズメンバーからも逃げる拳一の前に現れた機械神によって、遂に開始される拳一の引き入れ計画。その一方で、この機械神の計画に邪魔が入らないよう、町には戦闘形態の電気大王が出現する。 ザウラーズ側はこの事態に、電気大王の相手は、金太のマグナザウラーと、洋二のグランザウラーが行い、残りのメンバーは拳一の捜索を続行することに決めるのだった。
その同刻、拳一に「お前を迎えに来た」と語りかけ、機械化帝国に来るようにと誘う機械神。 はじめは拒否していた拳一だったが、機械神は「機械になってしまうお前に、機械化帝国以外の行き場所があると思っているのか」「人間どもは誰もお前を受け入れてはくれぬぞ。家族も友人も」と言葉を続ける。
そうした機械神の発言を全て否定する拳一。だが「本当にそう言い切れるのか?」と機械神に尋ねられたことで、「町の人々から化け物呼ばわりされた『現実』」を思い出した拳一は、機械神の言葉に取り込まれるところまで、徐々に、しかし確実に追い詰められていくのだった。
そんな拳一を、ザウラーズで最初に発見したのは、しのぶだった。だが、既に拳一は、半ば機械に支配され、人間を敵視するようになっており、果たして拳一は自分を探しにやってきたしのぶを「敵」と認識すると、その首を絞めるのだった。 こうして機械神の策略は順調に進んでいたが、拳一に襲われたしのぶの悲鳴を聞き付けて、拳一を捜索中だった、残りのザウラーズメンバーが、建設現場へと到着、拳一に手を離すよう叫び、しのぶも拳一の説得を続ける。
こうした状況下、拳一は最早、自分のしもべも同然であり、機械化帝国の一員だと言い放つ機械神。これに対して、拳一は自分たちの大切な仲間だと、真っ向から反論するザウラーズ。 拳一を巡って、言葉の応酬が続く中、しのぶの「人間の心をなくさないで」という言葉と、その目から流れた涙が決定打となり、正気に返った拳一は、しのぶの首から手を離したのだった。
だが、正気に返ったことで罪悪感に苛まれた拳一は、足を踏み外して、建設中のビルから落下しそうになる。 そんな拳一を助けるしのぶだが、その結果として、二人は高所に宙づり状態となってしまうのだった。 この状況で、「18人揃ってこそザウラーズであり、自分たちには拳一が必要」だと、しのぶに言われる拳一。 その言葉から程なく、宙づり状態だった二人はビルから落下してしまうが、半機械人間の拳一がしのぶを受け止めたことで、二人は九死に一生を得る。 斯くして「ザウラーズの峯崎拳一」という回答を出された機械神は、拳一とゴウザウラーを仲間に引き入れることを断念するのだった。
その頃、マグナザウラーとグランザウラーを相手に、終始優勢な戦闘を展開していた電気大王は、いよいよとどめを刺す直前にまで持ち込んでいた。 だが、その時、電気大王に撃ち込まれる、ゴウザウラーのザウラーボンバー。こうして隙を作られた電気大王は、キングゴウザウラーへの超熱血合体を果たされてしまう。 これからが戦いの本番とみる電気大王は、電撃を放って攻撃するが、それをキングゴウザウラーに受け止められてしまうと、逆にキングバズーカとキングタイタンの応酬を食らい、最終的にはザウラーキングフィニッシュを炸裂させられる。
こうして敗れ去った電気大王は退却し、機械神の策略も失敗に終わってしまうのだった。

分析

拳一が機械人間になりつつあることを見抜き、そんな拳一を仲間に引き入れることで、ゴウザウラーを機械化帝国の戦力に加えようとした機械神の策略は失敗に終わってしまった。 しかし、機械神の拳一に対する、その心理を揺さぶる言葉巧みさは流石であり、あと一歩で、拳一を機械化帝国の一員に加えられるところまで行ったことは、見事の一語に尽きよう。
そもそも人間には、先天的に自分とは違う毛色のものを嫌う性質があるという。そのことは、機械人間になりつつある拳一が、電柱を蹴り倒したところを目撃した町の人々が、拳一のことを化け物呼ばわりし、恐れを抱いたところに表れている。
そして、人間と機械の間で揺れ動く拳一が、一時的とはいえ、機械神の支配下に入りかけたのは、この、「町の人々から拒否反応を示された経験」によるところが大きい。 機械神との会話の直前に、町の人々から拒否反応を示されていた半機械人間の拳一は、機械神の言葉を受けた結果、人間に対する敵意を持つに至り、その敵意が、拳一にしのぶの首を絞めさせ、殺害しかけることに繋がっていったのである。
もし拳一が、しのぶを殺害してしまえば、拳一は絶対にザウラーズ側に、ひいては人間社会に居場所を求めることはできなくなり、自動的に、機械化帝国の一員となるしかなかったハズである。 その場合には、拳一がメインパイロットを務めるゴウザウラーを、機械化帝国の戦力に加えることもできたかもしれないし、あるいはゴウザウラーを入手できなくとも、拳一を送り込むことで、対ザウラーズ戦の切り札としても活用できたハズなのだ。
しかし、数々の修羅場をくぐり抜け、苦楽や生死を共にして戦ってきたザウラーズの結束力は驚くほど強固なものであり、そうした強い仲間意識が、拳一に、「ザウラーズとして生きる覚悟」を決めさせている。 恐らくこうしたザウラーズの絆の強さは、機械神の想像以上のものがあったと言っていいだろう。
また今回、しのぶを手にかけんとした拳一は、正気に返った後、ピンチに陥っていたマグナザウラーとグランザウラーをゴウザウラーで助け、キングゴウザウラーへと超熱血合体して電気大王と戦い、これをザウラーキングフィニッシュで倒している。 同族殺しは決別を意味する。半機械人間の拳一が、人間のしのぶを殺害せずに、機械の電気大王をザウラーキングフィニッシュで撃破したところに、拳一の人間として生きる決意を感じずにはいられない。
また、キングゴウザウラーに合体したことも、今回に限っては、拳一が間違いなくザウラーズの一員であるということを証明しており、この度の機械神の策略は、ある意味、ザウラーズの結束力を高める結果となってしまったとも言える。
だがしかし、如何にザウラーズが結束力を高めようとも、電気大王がマグナザウラーとグランザウラーに、もっと早くとどめを刺してさえいれば、ザウラーズが結束したくても、することができない状況を、作り出せていたハズだ。 電気大王と、マグナザウラー、グランザウラーの戦力差は明白だったため、こうした勝負の綾の積み重ねが、機械化帝国の敗北に繋がったのかもしれない。

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